[原子力産業新聞] 2008年10月2日 第2447号 <3面>

原子力開発室を設置 英国・ビジネス規制改革省内に

英国・ビジネス規制改革省(BERR)のJ.ハットン大臣は9月17日、英国政府が新設した「原子力開発フォーラム」第1回会合の席上で、英国において一刻も早く新たな原子力発電所の建設が可能になるよう全力を尽くすとの見解を表明するとともに、その一環として、BERR内に原子力開発室(OND)を設置したことを明らかにした。

「原子力開発フォーラム」は英国原子力産業界のリーダーや政府の重要人物を集めた協議の場で、BERRの大臣自らが座長を務める。主な役割としては、英国において可能な限り早急に新規原子力発電所を建設するため、国内のサプライ・チェーンや電気事業者および製造業者とも連携。ONDが適切な環境作りをしていく上で必要となる支援や助言を提供していくとしている。

初会合でハットン大臣は、「原油やガスの輸入依存を軽減し、温室効果ガスの排出を抑えるには、新たな原子力発電設備が何としても必要だ」と断言。英国内に一刻も早く新規の原子力発電所を建設するためにはあらゆる努力を惜しまぬ覚悟であると宣言した。

また、国内の製造業者が新規原子力発電所の建設需要で契約を獲得する絶好のチャンスである点にも言及し、民間部門で新たに約200億ポンドの投資と10万人分の雇用創出が見込まれるとの予測を明らかにした。

一方、大規模な原子力開発を計画している国々との競争激化という点については、英国の強力なサプライ・チェーンが必要な技術力と高性能な機器の提供という点で理想的な立場を占めることになると指摘。ただし、英国内および世界の原子力ルネサンスに乗じて国内のサプライ・チェーンが一層付加価値の高い事業活動を展開し、世界市場における競争力を高められるようにするには、さらなる支援と努力が必要との考えを提示した。

ONDについては、BERR内既存の原子力部門における現在の業務を足場に、これを保持しつつ関連部門から新たなスタッフを投入、総勢40名ほどに統合した。議長および実質的な責任を担う行政官の下に、@新規原子炉A原子力政策B核不拡散政策C原子力戦略、の4部署を設置。「原子力開発フォーラム」の事務局はCの所属になる。

ONDの主な役割の1つである「英国における原子力投資の促進」に関しては、具体的に次のような課題に取り組むとしている。すなわち、@事業者が早急に新規の原子力発電所を建設・操業できるよう、また、それらの発電所が公的な補助金を使わずにフルに性能を発揮できるよう支援するA原子力関係企業にとって英国が世界でも最良の市場となるよう努めるB英国を含めた全世界の原子力開発計画に対して、付加価値の高い事業活動を提供できるよう、世界レベルで競争力のあるサプライ・チェーンを創出・支援する――など。

また、ONDのもう1つの役割である「原子力産業関連の規制上および政策上の機能に関する内務大臣への助言」については、@原子力の安全性や保障措置に関する責任は政府にあるとの方針を堅持A放射性廃棄物管理と廃止措置に関する対策が今後も継続して進展していくよう支援B原子力に関わる世界的な脅威の排除について、主要関係国との協力プロジェクトなどを通じて責任を持つ−−と説明している。


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