[原子力産業新聞] 2008年10月2日 第2447号 <3面>

キーン安全委員が辞意表明 カナダ

今年1月にカナダ原子力安全委員会(CNSC)の委員長職から常勤委員への降格を命じられていたL.キーン委員は9月23日、CNSCからの辞意を表明した。

同委員は昨年、CNSC委員長としての権限でカナダ原子力公社・チョークリバー原子力研究所で停止中だったNRU炉の運転再開を、安全上の理由から差し止めていた。しかし、同炉の停止長期化は医療用アイソトープの深刻な不足を招く事態となったため、カナダ議会は昨年12月、緊急時立法によって同炉の運転を再開。G.ルン天然資源相はキーン委員長が職務を誠実に果たしていないとの理由で降格処分に付していたもの。

すでに処分撤回を政府に求める訴訟を起こしているキーン委員は、辞意の理由をS.ハーパー首相に宛てた書簡の中で明示。「係争中の身である私が、政府も私の能力に疑問を呈しているなかで、人為的に作られたようなポストで職務を遂行することは適当とは思えない」と説明している。


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