[原子力産業新聞] 2008年10月16日 第2449号 <3面>

新規原子炉21基分の申請 米政府の融資保証プログラム

米エネルギー省(DOE)は2日、新規原子力関連施設の建設計画に対する連邦政府の融資保証プログラムで、第1段階の締め切りである9月29日までに、14プロジェクト(21基分)の原子力発電所、および2つの燃料サイクル企業からそれぞれのウラン濃縮施設について申請があったと発表した。

この融資保証は、新たなエネルギー技術の商業利用化とクリーン・エネルギー計画への道筋を付けることを目的とした2008会計年度の枠組みから発給されるもの。新型原子炉の開発計画については、建設コストの最大80%までを政府が保証することとなっている。DOEは今年6月、今後20年間に米国で新たに建設される原子力施設について合計185億ドル、濃縮などフロント・エンドの先進的燃料サイクル施設に関しては合計20億ドルが割当てられていることを公表し、産業界からのプロジェクト申請を呼びかけていた。

9月までに申請のあったプロジェクトはすべて、米原子力規制委員会による設計認証を(DC)受けた原子炉設計、あるいは現在認証作業中の設計など5種類の先進的な原子炉設計を採用した計画となっており、申請額の合計は1220億ドル、プロジェクトの建設コストの総計は1880億ドルに達した。DOEによると、これらがすべて完成すれば、米国のベースロード電源は2880万kW分増設されることになるが、申請の事実を公表したのは、ユニスター社のカルバートクリフス3号機(US・EPR)計画やドミニオン社のノースアナ3号機(ESBWR)計画などにとどまっている。

一方、フロント・エンド施設を対象とする融資保証に対しては、米国濃縮会社(USEC)がオハイオ州の米国遠心分離濃縮工場計画で申請したほか、仏アレバ社がアイダホ州のイーグル・ロック遠心分離濃縮工場計画で申請したと伝えられている。2社の申請総額は割当て総額の20億ドルに対して40億ドルにのぼった。

これらの申請については現在、DOEの融資保証プログラム室が計画全体の財政面および建設面について初期審査と選定作業を実施中で、近々にもプロジェクト毎の初期順位を評定。第1段階の招請に応募した企業は自動的に第2段階の申請に進むことが可能だが、初期の順位いかんで第2段階に進むか否かを選択することもできる。締め切りは原子力発電施設については12月19日、濃縮施設については同2日となっている。


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