[原子力産業新聞] 2008年10月16日 第2449号 <3面>

IAEA 耐震安全活動の中心として 国際耐震安全センター設置

国際原子力機関(IAEA)は3日、原子力関連施設を地震の影響から防護するための対策調整組織として「国際耐震安全センター(ISSC)」をウィーンのIAEA本部・原子力安全局内に正式に設置したと発表した。

昨年7月、世界最大の原子力発電所である日本の柏崎刈羽発電所が設計地震動を超える地震により被害を被ったことから、IAEAでは国際的な連携・調整によって世界中の原子力施設を地震の影響から防護する必要性を痛感。同時に、原子力施設の構造上の耐久性に国際的な関心が集まったことを強く認識した。こうしたことからIAEAは、各国が強力な地震による原子力発電所への影響を緩和し、災害評価するのを支援するため、耐震安全性に関する諸活動の中心組織としてISSCの設置を決めたとしている。

ISSCの主な役割は、@原子力施設に対する大地震の影響を緩和、回避するための知見を国際的なコミュニティ間で共有できるよう促すA助言サービスや訓練コースの提供を通じて加盟各国を支援するB加盟国における過去の地震経験を活用して耐震安全性を強化する−−など。

これらを果たすために、ハイ・レベルな専門家達が世界中の学界や産業界、および原子力安全当局から集められ、科学者委員会としてISSCのプログラム活動をサポート。彼らの専門分野は構造地質学や地震学、地震動評価、地質工学、構造工学、原子力設備工学、地震リスク――などとなっているが、IAEAからも七名の職員が加わってISSCを構成している。また、日本と米国はセンターの創設に必要な初期基金の特別拠出を行った。

ISSCのリーダーを務めるIAEAのA.ゴドイ工学安全課・課長代行は、「安全性を最優先事項に世界中から得られるだけの専門的知見を蓄え、原子力施設の運転員や規制当局者が大型地震に適切に対処できるよう支援することは極めて重要なこと」と強調。ISSCの創設は、加盟国に対する最新の安全基準策定とその適用に関わる支援を通じて、IAEAが30年にわたり実施してきたアクティブな諸活動の集大成、との認識を表明した。


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