[原子力産業新聞] 2008年10月23日 第2450号 <1面>

ウラン権益取得が活発 三井物産は豪州、双日はウズベキスタン

三井物産はこのほどカナダのウラニウムワン社から、オーストラリアの6つのウラン鉱区の権益を取得することで合意し、売買契約書と共同開発のための合弁契約を締結した。三井物産として初のウラン権益の取得で、総投資額は約70億円の見込み。

三井物産が取得する鉱区は、南オーストラリア州の州都のアデレードの近郷。いずれも未開発鉱区だが、この内の1つのハネムーン鉱区はすでに開発許可を取得し工事が始まっており、09年末から10年に年間約400トン、6年間の商業生産を予定。

同鉱山の開発費用はウラニウムワン51%、三井物産49%とする合弁事業への出資比率に応じて負担する。同鉱区以外の鉱区は今後共同で探鉱、具体的な事業化計画を検討する。今回の両契約は、オーストラリア政府機関の承認取得が発効の条件で、両社は年内に本契約成立を目指す。

三井物産は石油、LNG、石炭などの開発事業で実績を有するが、ウラン資源も今回の権益取得を機に、各国での投資機会を検討する方針。ウラニウムワン社は国際的なウラン生産会社で、07年の生産量は約900トンで、世界第10位。

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双日はこのほどウズベキスタンの政府機関である国家地質鉱物資源委員会と、同国内のウラン資源の探鉱・開発を行う合弁企業の設立に向け、基本合意書に調印した。合意により、双日は同委員会から18か月の独占交渉権を得て、詳細な協議を進める。

今回、同委員会から共同探鉱プロジェクトとして選定された鉱区は、首都のタシケントから西へ約350<CODE NUMTYPE=SG NUM=5A03>に位置するチェトビョルトエ鉱区で、ウラン鉱床は薄層が積み重なった泥岩の黒色頁岩型に属する。

詳細協議に合意した場合、探鉱活動を推進する合弁企業を設立、地下資源利用法に基づくライセンスを取得し探鉱を開始する予定。さらに探鉱の結果、有望なウラン資源と確認でき、商業化が可能と判断した場合、ウランの生産事業を開始し、海外電力会社向けに民生原子炉用ウラン燃料として輸出、販売する。

ウズベキスタンは現在、年間約2400トンのウラン精鉱を生産、世界のウラン需要6万5000トンの約3.7%を占める。

国家地質鉱物資源委員会は地質調査、鉱物資源の保全、採掘、開発を管轄する国家機関で、ウラン資源では黒色頁岩型鉱床の探査を担当する。


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