[原子力産業新聞] 2008年10月23日 第2450号 <2面>

エネ庁・研究会 利用率向上と新増設、同時に必要

資源エネルギー庁の「低炭素電力供給システムに関する研究会」(座長=山地憲治・東大院教授)は9日の会合で原子力の現状と課題を議論した。エネ庁は20年にゼロ・エミッション電源50%達成のためには原子力を07年度比約1.7倍の4400億kWhにする必要があるとの簡易試算を提示。またエネ庁、事業者とも第二再処理工場の検討をできる限り早期に開始すべきとの意向を示した。

この試算は長期エネルギー見通しの「努力継続ケース」程度の電力需要を前提とする。20年度の発電電力量を07年度比約7%増の1兆1000億kWh余りとし、水力・新エネ等が同約20%増の1100億kWhを供給できるとした上での試算。

原子力4400億kWhは、設備利用率を80%程度まで向上できれば新増設は九基で何とか達成可能だが、利用率70%の場合には18基程度の新増設が必要。利用率70%で新増設三基の場合にはゼロ・エミ電源は39%に止まり、50%と比較し二酸化炭素排出量が8500万トン増える。このためエネ庁は、設備利用率の向上と新増設の実現を同時に目指すことが必要とした。

一方、課題としてエネ庁、事業者ともに挙げたのが第二再処理工場の具体化と費用負担の早期の検討。同工場の計画が固まるまで、費用を電力料金原価に算入できず、世代間負担の公平な確保が難しくなるとしている。


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