[原子力産業新聞] 2008年10月23日 第2450号 <3面>

フィンランド 5基目の原子炉 運開は12年に遅延

フィンランドのティオリスーデン・ボイマ(TVO)社は17日、同国5基目の原子炉としてオルキルオト原子力発電所サイトで建設中の3号機(EPR、160万kW)が、土木建築工事の遅れにより、運転開始が2012年にずれ込む見通しであると発表した。

TVOの発表によると、世界で初のEPR(欧州加圧水型炉)となる同機の建設作業では、今年に入り作業員数をこれまでの2倍の4000名に増員。主要機器の製造については、三菱重工による圧力容器の製造が完了するなど順調に進んでいるほか、三交代制で進めている原子炉建屋の建設工事やタービン機器の組立て作業も継続中だ。

しかし、供給業者であるアレバ社とシーメンス社の企業連合が提示した工程表によると、土木建築工事が予定より数か月長びいている。このため、今後の機器の設置や組立て作業に影響が出ることは避けられず、TVOでは原子炉の運転開始は2012年に延期せざるを得ないと判断したもの。

作業の遅れを取り戻す方策とそれに伴う増加経費の負担は、必然的にターンキー契約で工事を請け負った企業連合の責任だ。しかしアレバ社側は、フィンランド安全当局に提出する関係書類の認証作業にTVOは平均九か月を要しており、契約に明記された2か月以内で終わっていないと指摘。一方のTVOは、固定の金額で契約を結んだことを理由に、この損失を供給業者と分担する考えのないことを明言しているため、アレバ社は契約上の問題に関する仲裁手続きに入ったとしている。


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