[原子力産業新聞] 2008年10月30日 第2451号 <7面>

仏アレバ社と米ノースロップ・グラマン社 米で大型機器の製造施設

仏アレバ社は23日、米国の新規原子力発電所向けの大型機器を製造するため、米国最大の造船企業であるノースロップ・グラマン社・シップビルディング部門と共同で、世界最大規模の原子力機器製造・エンジニアリング施設をバージニア州ニューポート・ニューズ市に建設することになったと発表した。30年ぶりに原子力発電所新設に舵を切った米国を舞台に、既存の枠組みを越えた新たな原子力サプライ・チェーンが構築されつつある。

この施設はアレバ社が開発した第3世代+の原子炉設計であるUS−EPR(米国の規制に合わせた欧州加圧水型炉)用の主要大型機器を製造するためのもの。同社は過去30年以上にわたって、フランス・シャロンのサン・マルセル工場で世界の原子力発電所向けの大型機器を製造してきた。今後はノースロップ・グラマン社の技術と経験を活用することによって、米国内においてもUS−EPRの製造サプライ・チェーンを確保し、米国に安全でクリーンな電力を安価でもたらすようなエネルギー供給構造の多様化に貢献していく考えだ。

新たな製造施設建設のために、アレバ社はノースロップ・グラマン社と67対33の出資比率で「アレバ・ニューポート・ニューズLLC」を設立。ニューポート・ニューズ市のノースロップ・グラマン社に隣接する30万平方フィートの敷地に、今後35年間に米国で新設される原子炉のための圧力容器や蒸気発生器、加圧器などの主要機器を供給できるフル・スケールの製造施設を3億6,000万ドル以上の資金を投じて建設する。建設工事は来年前半にも開始される見込みで、完成すれば地元バージニア州に常勤・非常勤を含めて500人分の雇用が創出されるとしている。具体的な完成予定年は公表されていないが、非公式には2011年になると伝えられている。

アレバ社はまた、ノースロップ・グラマン社との新会社のほかに、ペンシルベニア州ベツレヘムにあるリハイ・ヘビー・フォージ社にも働きかけ、US−EPR用に高品質の鍛造品を生産することも計画している。リハイ社は100年以上の操業実績を持つ鍛造業者で、1万トンの液圧プレス機を保有し、300トンを超える製品の製造が可能である。

アレバ社のA.ローベルジョン最高経営責任者はプロジェクトの背景説明として、「当社は世界で新規に建設される原子炉の約3分の1を、米国では少なくとも7基を供給するつもりだ」との計画を明らかにしている。

ノースロップ・グラマン・シップビルディングのM.ペッターズ社長も、「この提携で、当社の高い技術やエンジニアリング、プロジェクト管理能力が大いに発揮されるだろう」と強調。米海軍用の原子力船や軍艦の製造で培ってきた専門技術を米国のエネルギー部門に生かす機会を得たと述べた。


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