[原子力産業新聞] 2008年10月30日 第2451号 <7面>

米印事業評議会 原子力貿易で 12月にインドへ代表団

米国のC.グティエレス商務長官(=写真)は15日、ワシントンで開催された米印ビジネス評議会の「グリーン・インディア」サミットで演説し、同評議会が12月に民生用原子力貿易のための代表団をインドに派遣することを商務省は保証すると明言した。

同評議会は1975年に米印政府の要請で発足した両国間の事業促進団体。同商務長官の説明では、評議会の「グリーン・インディア」サミットは、クリーンで安全かつ健康的な環境の確保に貢献しつつ、両国経済の成長を促す手段を模索する機会の1つ。商務省も2007年3月以降すでに3回、アジア太平洋パートナーシップのクリーン・エネルギーと環境に関する貿易代表団を通じて合計40社の米国企業代表者をインド6都市に訪問させたとしている。

演説の中でグティエレス商務長官はまず、「経済の戦略的な部分を担っているのはエネルギーであり、世界規模で増大するエネルギー需要や気候変動に対する懸念は、安全でクリーン、保証された方法によるエネルギーの確保に新たな注目を集めるに至った」と指摘。その上で、ブッシュ米大統領が米印原子力協力協定を発効させる法案に署名したことに触れ、「インドの民生用原子炉への燃料供給は確かなものとなるだろう。インドはこれにより、国内のエネルギー需要に対応し、化石燃料への依存を軽減する一助とすることができる」との見解を示すとともに、米国側も急速に成長しつつあるインドの民生用原子力市場にアクセス可能になると強調した。

同長官によると、2007年の米印二国間の貿易総額は約420億ドルにのぼり、05年実績から55%の上昇。原子力関係の売上げを含め、風力やバイオマス、水力などのクリーン・エネルギー技術によって、さらなるビジネス・チャンスが見込まれると指摘している。同長官はまた、同評議会のR.ソマーズ議長が「新たな貿易によって、今後30年間に両国の民間企業の取引額は1,500億ドルになる」と予測している点に言及。「米国の民間企業は急成長しつつあるインドの原子力部門への貢献を望んでいるが、そのためには米印双方の民間セクターが原子力賠償について対応措置を取る必要がある」と指摘した。特にインド側は、「原子力損害に関する補足的な補償に関する条約」に整合する国内法を立案・成立させなければならず、両国の原子力貿易にはさらなる環境整備が不可欠との見方を表明した。


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