[原子力産業新聞] 2008年11月13日 第2453号 <4面>

日立・阪大 厚板用レーザー溶接を開発 「ガスジェット」で省エネ効果も

日立製作所はこのほど大阪大学と共同で、原子力発電プラントなどの厚板部材の接合に適した「ガスジェット方式レーザー溶接」を開発した。従来と同じレーザー出力で溶込み深さを約40%増大でき、同じ溶込み深さを得る場合にはレーザー出力を約50%削減できる。

レーザー溶接は様々な分野で利用され始めているが、10kW級の大出力レーザーと空気から溶接部を遮断するシールドガス供給ノズルを組み合わせる従来方法は、厚板部材のような溶込み深さの必要な溶接が難しいという課題があった。

金属蒸気(プルーム)の影響により溶接が不安定になるためで、レーザー出力に見合う溶込み深さを得ることが困難だった。

今回、日立と阪大はシールドガスのガス圧が溶接の安定性と溶込み形状に大きく影響することを見出し、レーザー光線の照射と同時にシールドガスを高速で噴射する「ガスジェット方式」を開発。レーザーの出力を増大させることなく、溶込み深さの増大を達成した。また、ガス噴射を最適に制御し、溶接時に発生するプルームや溶融金属の吹き上がりを抑制する「プルーム抑制技術」も開発し、安定した溶接を可能とした。


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