[原子力産業新聞] 2008年11月20日 第2454号 <2面>

原子力委部会 エネ利用政策評価 ウラン資源対策など議論

原子力委員会の政策評価部会(部会長=近藤駿介同委員長)は14日、エネルギー利用に関する第2回目の審議を行い、核燃料サイクルについて、経済産業省、電気事業連合会、日本原燃、日本原子力研究開発機構より取組状況の報告を受けた。

経産省からは、森本英雄・資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課長が、原子力政策大綱に記載される核燃料サイクル政策、(1)天然ウランの確保(2)ウラン濃縮(3)使用済み燃料の取扱(4)軽水炉によるMOX燃料利用(5)中間貯蔵施設およびその後の処理の方策――について報告した。特に、今後の世界的な原子力回帰によるウラン獲得競争の激化を見据え、「カザフスタンをウラン資源確保の最重要地点」とするなど、資源外交の積極的展開を強調した。

続いて、高橋祐治・電事連原子力部長が、カザフスタンを中心とするウラン鉱山探鉱・開発プロジェクトへの日本企業の参画状況、プルサーマル導入へ向けた最近の各電力の動き、使用済み燃料中間貯蔵施設の進展状況などを説明した。

核燃料サイクル施設の現況について、田中治邦・日本原燃経営企画室部長は、現有ウラン濃縮プラントのリプレースに向けた新型機開発、再処理工場の試運転状況、MOX加工工場の着工準備状況などを述べた上で、それらに伴う安全確保、保障措置、核物質防護、技術開発等の取組も紹介した。

また、不確実性への対応として実施している使用済み燃料の直接処分技術に関する調査研究について、原子力機構の油井三和氏が紹介し、廃棄体の運搬・定置方法の検討で、硬岩系の処分坑道断面積が、04年に原子力委員会が示した仕様より、65%低減できる可能性を述べた。

これらに対し委員からは、ウラン資源確保やウラン濃縮プラントのリプレースに関連して、旧日本原子力研究所の開発した海水ウラン回収の成立性、ウラン廃棄物処分に伴う除染技術について、また、米国政権交替に関する質疑などがあり、対米対応では、高橋部長が、電事連の現地事務所を基点に、日本の保障措置、核物質防護について、政策有力者に対し説明を行っていることを述べた。


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