[原子力産業新聞] 2008年11月20日 第2454号 <4面>

埼玉大・NEDO 100mSvのγ線検出を確認 放射線管理向け新素材

埼玉大学大学院の太刀川達也講師はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構の産業技術研究助成事業により、100mSvのγ線を検出できるカラーフォーマー材料を開発した。今後、放射線照射施設における作業員の健康管理用インジケーターとしての利用を図る。

カラーフォーマーは機能性色素のひとつで、通常は無色だが顕色剤と出会うと発色する。今回、太刀川講師はフェノキサジン系、カルバモイル基で保護された同系、フェナジン系などを中心に40種近くの新規カラーフォーマーを合成し、γ線照射による発色能を評価。フェナジン系カラーフォーマーの0.25mMのアセトニトリル溶液が、100Gyの照射で約5の吸光度変化を示すことを見出した。

これは従来の1000倍以上の感度を達成するもので、人間の健康管理にも使用できるレベルとしたのは革新的な成果という。冷暗所で保存すれば約1か月発色せず保存性に優れ、引火性や毒性が低く安全性が高いことも特徴。

同カラーフォーマーを光硬化性樹脂に分散させ、固相化した試料でも発色を確認しているが、今後、無色のまま感度を落とさず固相化することに取り組む。


Copyright (C) 2008 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.