[原子力産業新聞] 2008年12月4日 第2456号 <2面>

武蔵工大 原子力学科新設で記念シンポ 早大との共同大学院構想も

武蔵工業大学工学部は11月25日、同学に今年度、新設された原子力安全工学科の船出を祝う記念シンポジウムを経団連会館(東京・千代田区)で開催し、同学科の開設経緯、近況等を報告。将来的に、早稲田大学との共同大学院設立構想にも言及した。当日は、近藤駿介原子力委員長やOBの大畠章宏・衆議院議員らも演壇に立ち、今後の「原子力ルネッサンス時代」を担う人材の輩出に期待をかけるなどした。

冒頭、中村英夫・同学長(=写真)が挨拶に立ち、新学科設立に際し、経営上は「論外」なこととして、困難を認める一方、これまでの大学の歴史、日本の立場をかえりみて、進めるべき事業であると、その意義を強調した。

原子力安全工学科の特色としては、原子力利用に関わる総合的な知識・技術を養うとともに、「安全」に力点を置いたカリキュラムを通じ、関連の資格取得も可能なよう体系化を図っている点を堀内則量・同原子力研究所長が説明。また、運転を停止した同学の研究炉や、学外機関の施設を利用した運転実習、技能訓練等により、実務に即応する技術者養成も目指すこととし、既に昨年度から、国の「原子力人材育成プログラム」で、教材・カリキュラムも準備が進められている。

卒業後の進路については、政府・自治体、研究機関、電力、メーカー、医療機関他、幅広い分野への就職指導を見込むとともに、進学を志す学生に対しては、既存の「エネルギー量子工学専攻」を改組した「原子力安全工学専攻」の10年度設置を計画しているほか、早稲田大学との原子力系共同大学院の設立も検討中と、堀内所長は述べた。

今回の原子力安全工学科開設について、近藤委員長は、原子力分野を支えてきた人材が近年、退職期を迎えつつあることから、「時宜を得た取組み」として、今後の発展・支援を、また、大畠議員はかつて日立製作所で技術部門に携わっていた経験に触れ、同学卒業生の積極的採用を、それぞれ壇上から会場一杯に参集した産業界関係者らに訴えかけた。


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