[原子力産業新聞] 2008年12月11日 第2457号 <1面>

国際戦略小委 強力な一元的実施機関に 協議会に強い期待 新規導入国対応を議論

総合資源エネルギー調査会原子力部会の国際戦略検討小委員会(委員長=田中知・東大院教授)は9日、第2回会合を開催、新規導入国や開発途上国への協力を検討した。エネ庁が主要論点、原産協会が産業界の方策や国への要望を示した。委員からは現在、設置の準備を進めている官民合同の協議会について、一元的協力実施機関として強力な組織にすべきとの意見が多く出された。

エネ庁が示した論点は協力対象国、相手国ニーズ対応、安全確保、国内体制整備など。対象国ではアジア以外からも日本の支援への期待が高く、これに応えるべきとするとともに、3Sの確保や燃料供給などからIAEAなどの国際機関や原子力先進国との協力が重要と指摘。ニーズは制度、人材、資金、運転支援など幅広く、支援体制充実に向け課題は多いとした。国内体制では支援の中核組織となる協議会に実務的な情報やノウハウを集約するとした。

原産協会は、小委員会委員でもある服部拓也・理事長が説明。対象国の多くは人材・法整備・PA活動・周辺インフラ整備・ファイナンス・燃料供給・バックエンド等をパッケージで求めている点を強調した上で、産業界としてはキーパーソンの招聘、PA活動支援、人材養成、技術支援などに取組むとした。国に対しては、明確な方針と3Sを前提とした積極的な原子力協力推進のための主導的取組みを要請。協議会は効果的な支援を実施するため一元的協力実施機関とすべきとし、例としてフランス国際原子力協力機構(AFNI)を挙げた。

また保安院が国際原子力安全WGの検討、文科省が原子力損害賠償制度の国際動向を説明した。

委員からは、「原子力は国家間の競争、キチッとした窓口の設置が必要」(市川眞一・クレディ・スイス証券チーフストラテジスト)、「原子力損害賠償の国際条約はCSC(原子力損害の補完的補償に関する条約)加盟を前提に。中核組織は各機関との関係が強固で、日本の顔が見えステータスや責任も強い組織にすべき」(前田匡史・日本政策金融公庫国際協力銀行資源ファイナンス部長)、「フランスの活動のより詳細な分析を」(村崎勉・日本貿易保険営業第二部長)、「日本は保障措置の協力が強み、アジアの保障措置のイニシアティブを取るべき。学術分野の交流の枠組みも必要」(山名元・京大教授)、「ほかの国に比べ政府間協力の動きが遅い」(末次克彦・アジア太平洋エネルギーフォーラム代表幹事)、「日本が主体的な支援に出る時期で、これを牽引できる中核組織が必要」(兒島伊佐美・日本原燃社長)、「フランスの官民連携は強い。一元的協力実施機関で情報を共有し、具体策の実施が重要」(佐賀山豊・原子力機構理事長特別補佐)などの意見が出された。


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