[原子力産業新聞] 2008年12月11日 第2457号 <2面>

第9回FNCA大臣級会合 「原子力発電の基盤整備」と「放射線利用の実用化」へ高まる熱意 FNCA日本コーデイネーター 町 末男氏

平成20年11月28日、第9回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合がフィリピンと日本の共催で、マニラにて九か国が参加して開催された。フィリピンのアラバストロ科学技術大臣が会合議長を務めた。日本からは増原内閣府副大臣が出席した。

今次会合では「原子力発電の基盤整備」と「放射線利用の実用化」における協力を、FNCAとしてどう進めるかを集中的に議論した。多くのカントリーレポートにおいても、エネルギー安定供給のための原子力発電の重要性と生活向上に役立つ放射線利用の推進を強調していた。

原子力発電については、すでに運転している日・中・韓に対して、近い将来導入を決定しているインドネシア、タイ、ベトナム、バングラデシュ、導入を鋭意検討中のマレーシア、フィリピンの6か国が強く協力を求めた。特に人材の養成が重要とされた。導入にあたって重要な検討事項について、日・中・韓がその経験・情報を分かち与えることが期待された。

これに応えて、日本政府が提案した「原子力発電のための基盤整備に向けた取組」に関するスタディ・パネルの2009年からの開始が強い支持のもとに合意された。

昨年の第8回大臣級会合で発出した共同コミュニケで提案している「原子力発電をCDMの対象とすべき」との点については、今後さらに各国が国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の会合などにおいて、原子力発電の利点、安全性などについてよく説明し、理解を求めていくことで合意した。さらに、CDMに原子力発電が包含された場合のメリットについての「モデルケース」を検討することが提案され、来年3月の第10回コーディネーター会合でその進め方を協議することが合意された。

放射線利用については、これを「国民生活のレベル向上に役立てる」よう取り組む決意が多くの国から述べられた。すでにFNCAで得られている具体的な成果、例えば子宮頸がんの効果的な放射線治療法、農作物収穫向上に役立つバイオ肥料、植物生長促進剤、ソルガムの品種改良、テクネシウム・ジェネレーターの新製造技術などを、実用的に普及させることの重要性とその方策が議論された。


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