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[原子力産業新聞] 2008年12月18日 第2458号 <2面>

スイスの大手電力2社 リプレース炉建設で包括認可申請

スイスの最大手電力会社であるAXPOグループとBKW−FMBエネルギー社は4日、ベツナウ原子力発電所1、2号機およびミューレベルク原子力発電所の3基のリプレース炉として、2基の原子炉を建設するための包括的な認可申請をスイス連邦エネルギー庁に提出したと発表した。

これら2サイトの原子炉は2020年頃に運転寿命を迎えるほか、仏国からの電力購入契約も2018年以降、徐々に期限切れとなる。スイスでは原子力で総電力需要量の4割を賄っており、両社は国内の将来の電力供給を確保するため、2020年以降の運転開始を念頭にリプレース炉の建設を決めたとしている。

具体的な炉型および原子炉メーカーなどの詳細は建設認可の申請段階で決定することになるが、両社は世界的に認知された技術を有するメーカーを1社選択し、出力は最大160万kWで全く同一の設計を想定。冷却塔は近代的なハイブリッド型を採用するという点で合意に達しており、温排水によって近隣河川に影響を及すことが少なく、高さが従来型より低いため周辺の景観を損なわず、蒸気が大量に立ち上ることもないという。

これら2基の建設計画は今後、地元および近隣の州政府や近隣諸国などから承認を得るため審査を受けることになるが、最終判断が下るまでには、この後、連邦参事会(内閣)と議会、国民投票により承認を得なければならない。現段階で両社は2012年〜13年頃に国民投票にかけたい考えだが、包括的な認可が下りた後は、さらに建設と操業についても所定の認可手続きを踏むことになっている。

スイスでは今年6月、電力会社であるATEL社の子会社(ニーダーアムト社)がゲスゲン原子力発電所の隣接サイトに新規原子炉を建設する申請を政府に提出しており、今回の2基と合わせて合計3基の申請について審査が行われる見込み。これらの計画が認められれば、同国で約30年ぶりの新規原子炉建設に向けて動き出すことになる。


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