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[原子力産業新聞] 2008年12月18日 第2458号 <6面>

ITER コイル試作本格化 原子力機構 製造・組立会社を公募 今後の統括会社にも

原子力機構は国際熱核融合実験炉(ITER)の超伝導トロイダル磁場(TF)コイルを日本で作製・組立てしフランスに納入するため、「TFコイルの詳細製作設計および実規模試作一式」の入札を、12日付けの官報で開始した。

すでに超伝導コイル用導体などの国内発注は今年3月に行われているが、今後、巻線部と構造物の製作、さらに大型コイル構造物(約300トン)への一体化と仏カダラッシュなどへの輸送というITER実現へ向けての、最大プロジェクトの1つが本格化する。

具体的な今回の入札では、(1)1次製造設計(2)製造計画と冶工具の設計・準備(3)小規模、実規模大の試作等による製作技術の確立(4)詳細製造設計および製作図面の作成――などを通じて、試作品1体分を作り、TFコイル作成に係る技術的リスクの低減と工程・コストに関する合理化を図り、実機のTFコイルの調達で必要となる製作設計や製作技術を確立すること。今回の受注メーカーは、今後実際にTFコイルを作成する統括企業となる可能性が高いものとみられている。

詳細は入札説明書によるが、入札書の締め切りは来年2月4日まで、開札は同月17日、納入期限は茨城県にある那珂核融合研究所へ2011年3月までとなっている。

この製作が順調に進めば、2010年度からTFコイル第1番目の実機製作に着手する。

日本が製作することになっている実機のTFコイルは、巻線部(高さ13メートル、幅8.5メートル、重量約100トン)9個と、構造物(高さ16メートル、幅九メートル、重量約200トン)19セットを製作し、このうち9個のTFコイルを完成し、カダラッシュにあるITER建設地に輸送する。また、残り10セットはEU側が組み立てるため原子力機構が指定する欧州のコイル製作メーカーへ輸送する。これらを14年度はじめまでに、技術を検証しながら進めることになっている。


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