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[原子力産業新聞] 2009年1月6日 第2459号 <12面>

シンポで班目教授が強調 「本音の議論できる場も必要」 創立5年のJNESに評価と期待

原子力安全基盤機構(JNES)は18日、東京の有楽町朝日ホールでJNES2008シンポジウム「今後の安全規制とJNESの役割」を開き、設立5年を経たJNESの現状と今後の役割について議論した。

開会挨拶した成合英樹JNES理事長は、設立当初を振り返り、定期安全管理審査の導入時期とも重なったことから、「技術専門家集団として期待されてのスタートであったが、検査は1日もゆるがせにできず、すぐにも検査作業におもむかざるを得なかった」と苦しい経験を語った。

同理事長はさらに、「原子力の安全確保を担う技術的課題に、国民への説明責任を含めてJNESが責任を持つという覚悟が重要」と述べ、「国民から高い信頼性を得られるよう、今後とも努力していく」と決意を語った。

各部長から「新検査制度」、「安全評価技術」、「基準の整備」について報告があった後、北村正晴・東北大学名誉教授をコーディネーターに「今後のJNESに期待すること」と題してパネル討論を行った。

班目春樹・東京大学院教授は「以前は規制側と電力会社はやや対立構造だった。プラントの安全を確保する目的は同じ。馴れ合いはよくないが、適正な緊張関係を持ちながらコミュニケーションが第一だ」としながらも、「大学もいままでサボってきたと思う。政府の委員会はみな公開で、本音の議論ができる場も必要。二重、三重の仕組みがいる。規制側と事業者は時としてギリギリ詰めることができない場合もある。間に入る人が必要だ」と述べた。

電事連の辻倉米蔵顧問は、「前には、規制側に対して主張すればするほど混乱するということがあった。同じ目線で議論できる仕組み、場が必要だ」と語った。JNESの曽我部捷洋理事は、「JNESの平均年齢は51歳で年齢構成に偏りはあるが、専門性を高め、少数精鋭でやっていきたい」と語った。


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