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[原子力産業新聞] 2009年1月8日 第2460号 <2面>

仏でMA健全燃焼を確認 電中研が原子力委に報告

原子力委員会の分離変換技術検討会は12月12日と24日、電力中央研究所と日本原子力研究開発機構から核変換技術の現状についてヒアリングした。

電中研はMA含有金属燃料を作成、高速炉で燃焼させて核変換挙動を把握する研究を進めてきており、@5%程度までのMA含有金属燃料の成立性を確認した上でMA無、2%および5%含有の金属燃料棒を溶解で作成A03年末から08年にかけてこの3種類の金属燃料を低・中・高燃焼度までフランスのフェニックス炉で照射、各燃料とも健全に燃焼したことを確認Bこれまで実施した観察項目では照射特性に通常燃料と特段の差はないC今後、MAの核変換挙動を測定する予定――などを報告した。同照射燃料の再処理についても、小規模での試験を計画中とした。

今後の課題としては、フェニックスが08年で閉鎖予定のため常陽による照射実績の蓄積、工学規模の装置開発などを挙げた。

原子力機構は核変換用高速炉の炉心設計研究と照射試験、ADS(加速器駆動未臨界システム)、共通基盤技術などの状況を説明した。炉心設計ではFaCTの主概念である酸化物燃料ナトリウム冷却炉で、MA含有率5%程度までなら所要の設計要求を満足しつつ、30〜40%のMA変換が達成できるとの見通しを取得。照射試験では3〜5%のMA含有MOX燃料ペレットを試作、常陽での短時間照射を終え、試験データを得つつあり、通常のMOX燃料ペレットと大きく異なる照射挙動はないとした。

ADSの設計研究では、熱出力800MWの鉛ビスマス冷却型の成立性の構築状況を示すとともに、J―PARCの第2期計画である核変換実験施設の建設により炉物理、核データ、核破砕ターゲット試験などの実施が必要とした。


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