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[原子力産業新聞] 2009年1月8日 第2460号 <3面>

フィンランド EPRサイトに圧力容器が到着 工期の遅れでコスト増問題も

フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は4日、世界で初めてのEPR(欧州加圧水型炉)となるオルキルオト原子力発電所3号機(160万kW)の原子炉圧力容器が建設サイトに到着したと発表した。

フェライト鋼製のこの圧力容器は日本製鋼所と三菱重工業が2003年10月から製造を開始していたもの。腐食を防ぐための被覆加工がステンレス鋼で施されており、上蓋も含めた総重量は526トン。製造にあたってはTVOの検査員が工程を監督したほか、規制当局であるフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)も審査を実施しており、昨年10月の日本での圧力テストを成功裏に完了したとしている。その後10月末からフィンランドへの海上輸送が開始され、3日に最寄のラウマ港に到着していた。今後は原子炉建屋が完成し、昇降口から定位置に釣り込むためのクレーンが設置されるまでサイト内に保管されることになっている。

なお、同機の運転は、サイトの掘削が開始された2004年当時は09年に予定されていたが、現在の計画では11年にずれ込む見通し。TVOは昨年12月30日、建設工事を請け負っている仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合が、作業の遅れとそれに伴う追加経費に関して仲裁手続きを国際商工会議所(ICC)に要請したことをICCから伝えられている。同企業連合がTVOにクレームを申し立てたのは2度目のことで、追加経費をTVOと分担することを求めている。

しかし、TVOは2003年に30億ユーロの固定価格で同連合とターンキー契約したことから、追加経費を負担する意志はないと表明しており、今後、今回のクレームの内容を検討し、対応する予定である。


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