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[原子力産業新聞] 2009年1月8日 第2460号 <3面>

英国政府 新規原発計画で 正当性評価の公開協議を開始

英国エネルギー気候変動省(DECC)は12月18日、英国原子力産業協会(NIA)が11月に提出していた「新規原子力発電所の正当性評価申請」について、公開協議を開始することとし、NIAの申請文書をパブリック・コメントに付した。

英国では現在、新規原子力発電所を建設するための事前認可作業として、政府が4つの革新的な原子炉設計――カナダ原子力公社のACR1000、仏アレバ社のEPR、GE日立社のESBWR、およびウェスチングハウス社のAP1000――の認証審査にあたる「包括的設計評価(GDA)」と、適切な建設サイトを特定する「戦略的サイト評価(SSA)」を進めている。

しかし、英国政府はこれとは別に、昨年3月から約18か月間の予定で、新規原子力発電所を英国に建設することが妥当であることを証明するための作業(公開協議の実施を含む)を開始。これは欧州連合(EU)指令でEU加盟国に義務付けられているもので、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づき、「新たな種類と形式の電離放射線利用」が導入される際、それが国民の利益に資することであると証明するのが目的。具体的には、放射線利用(による発電)に伴う全般的な利益が被曝など健康への悪影響を上回るか否かについて包括的かつ高レベルな評価作業で判定されることになる。

英国で現在稼働しているのは、サイズウェルBを除いたすべてがマグノックス炉。そのため、これらとGDAで審査中の4種類の革新的な原子炉設計との差異が「新たな形式」として見なされるか否かも含めて、これらを建設する前にその正当性を適切に評価する必要性が生じたもの。

政府の招請を受け、NIAは英国の原子力関係企業140社を代表する団体として申請書の作成にあたった。作業ではブリティッシュ・エナジー(BE)社、フランス電力(EDF)会社、E・ON社とRWE社、ヴァッテンフォール社、およびイベルドローラ社から支援を得たとしている。そして、4つの革新的な原子炉メーカーからの詳細な技術情報も交えて、廃棄物処分や環境影響などすべての潜在的な悪影響を電力の供給保証やCO2排出抑制といった利点と引き比べた結果、「放射線による健康影響は非常に小さいと考えられ、悪影響をすべて勘案したとしても利点は非常に大きい」と結論付けている。

これに対する一般からのコメントは3月25日までの期間に電子メールや電話、およびファクスを通じて聴取される。


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