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[原子力産業新聞] 2009年1月15日 第2461号 <3面>

米エンタジー社 新規建設で ESBWRの採用を再考

米国で2基の新規原子炉建設を計画しているエンタジー・ニュークリア社は9日、建設・運転・一括認可(COL)を申請した際の採用原子炉設計であるGE日立ニュークリア・エナジー社製ESBWR(高経済性・単純化沸騰水型炉)の審査を当面中断し、代替案となる原子炉設計を模索中であると発表した。

エンタジー社は昨年2月にミシシッピー州のグランドガルフ原子力発電所3号機として、また9月にはルイジアナ州のリバーベンド発電所3号機としてESBWRの建設を想定したCOLを米原子力規制委員会(NRC)に申請。NRCではこれらの審査手続きを進めていたが、エンタジー社はGE日立社との協議の中で取引条件が折り合わなかったことからNRCにESBWR特有の部分について審査の中断を申し入れたとしており、これに伴い、グランドガルフとリバーベンド両サイトの環境評価についても暫時延期することになった。

ただし、配電区域における電力需要増への対応策として同社が原子力という選択を堅持する点には変わりはなく、今後新たな原子炉技術の採用を検討していくと強調。ESBWRとしての審査作業は中断しても、環境評価などこれまで完了していた一般的な作業については申請の改訂版で有効利用することになる。

ESBWRの建設を想定したCOLについてはこれまで、デトロイト・エジソン社やドミニオン社などが合計5基についてNRCに申請済みだが、エクセロン社は昨年11月、「ESBWRの設計はまだ初期段階にあり、経済性や建設日程の面で不確実性が高い」として採用を取り止めている。


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