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[原子力産業新聞] 2009年1月22日 第2462号 <3面>

フィンランド フェンノボイマ社 新設で原則決定を申請

フィンランドの電力コンソーシアムであるフェンノボイマ社は14日、新規原子力発電所建設に関する原則決定(DIP)を政府に申請した。政府と議会が新規立地を承認すれば、同社は建設サイトと炉型を最終的に決定し、改めて建設許可を申請することになる。ただし同国ではすでに、昨年2月に大手のテオリスーデン・ボイマ社(TVO)がオルキルオト原子力発電所4号機としてDIPを申請したほか、フォータム社も既存原子力発電所への増設を検討中といわれており、国内電力需要の伸び率によっては新規の建設基数が絞られる可能性もある。

フィンランドでは現在、TVOがオルキルオト原子力発電所、フォータム社がロビーサ発電所を所有・運転し、国内の電力需要量の約4分の1を供給。フェンノボイマ社は国内のステンレス鋼会社や公営地方電力会社、ドイツのE・ON社などで構成される第三勢力であることから、同社の計画には原子力発電所立地点の地理的な分散化や、所有企業・組織の多様化を図れるという点で強みがあると強調している。

同社は昨年6月までに、建設候補地をピュハヨキ、ルオツィンピュフター(2地点)、シモの3か所に絞り、10月にはこれらで実施した環境影響評価(EIA)報告書を雇用経済省に提出した。いずれの候補地も政府が指定した開発区域内にあり、フェンノボイマ社は報告書の中で「3か所すべてで新規の原子炉を建設しても周辺環境に有害な影響を及ぼすことはない」と結論付けている。

同社が計画している設備容量は150万〜250万kW。ピュハヨキであれば仏アレバ社製・出力170万kW級のEPR(欧州加圧水型炉)を1基、ルオツィンピュフターの場合はアレバ社製SWR1000(出力125万kW程度の改良型・単純化BWR)を2基、シモに決まれば東芝製の160万kW級ABWRを1基建設することになる。いずれの場合も地域への電熱併給を念頭に設計される計画だ。

現在のスケジュールでは2012年頃に着工、18〜20年頃の営業運転開始を目指している。


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