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[原子力産業新聞] 2009年2月5日 第2464号 <1面>

柏崎刈羽7号機 原子炉起動へ、動き本格化 泉田知事が事前了解求める 起動前の系統試験は全て終了

東京電力・柏崎刈羽原子力発電所7号機の原子炉起動を巡る、地元自治体を含めた関係者の動きが活発化している。東電は4日までに、原子炉の起動を伴うプラント全体の機能試験に入るための系統試験を終了。新潟県の泉田裕彦知事は2日、同機能試験を開始する前に地元自治体の了解が必要との見解を初めて示すとともに、同社にこれを申し入れた。また柏崎市は3日、消防法に基づく7号機の使用停止命令を解除した。

合計23項目ある7号機の系統試験は、タービンの復旧を待っていた3項目も4日までに終了。近く、同試験の結果を保安院に報告、評価を受けることになる。

一方、新潟県の泉田裕彦知事は2日の臨時記者会見で、7号機のプラント全体の機能試験について、事前に地元自治体の了解が必要との判断を示すとともに、同日、東電に対し、試験開始前に地元了解を取るよう申し入れた。

泉田知事は、プラント全体の機能試験について、「順次出力を上げ100%出力にする計画であり、運転再開そのものであると認識する」と指摘。「しっかりとした議論がなされた上の了解でなければならない」とも述べた。また、新潟県として技術委員会や小委員会を設置し議論しており、国の判断を受けた上で、同委員会の議論を踏まえ、結論を出したいとの意向を示した。

知事は会見で、今後の自治体としての対応方針などを調整するため、柏崎市の会田洋市長、刈羽村の品田宏夫村長と三者会談を開く方針も示し、同会談の日程は今月6日となった。

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新潟県柏崎市は3日、柏崎刈羽原子力発電所7号機について、消防法に基づく緊急使用停止命令を解除した。柏崎市役所で会田洋市長が同発電所の高橋明男所長に解除通知書を手交した。

解除の対象は7号機関連の6施設と他号機と共用の7施設の合計13施設。市の消防本部は先月末にこれら施設の消火機能に問題がないことを立入り調査で確認した。

同緊急使用停止命令は、余震などでさらに火災が発生する恐れがあるとして、中越沖地震発生直後の07年7月18日に合計55施設に出された。他号機についても関係施設の安全性が確認された段階で随時解除される見通し。

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東京電力は1月28日のエネ調保安部会の「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」の設備健全性評価サブWGに、柏崎刈羽原子力発電所7号機のプラント全体の機能試験・評価計画書案を提出した。原子力安全・保安院は同計画書を適切と評価する見解を示し、同サブWGも大筋でこれらを了承した。

計画書は、昨年12月に示していた同試験の考え方を具体化したもの。東電は今会合での審議を踏まえ、近く正式な計画書を保安院や地元自治体に提出、保安院はこれを受けて正式に適切とする評価を示すとともに、地元自治体などに説明する見通し。

計画書は、原子炉を再臨界させ蒸気発生が可能となった後に実施する点検・試験・評価などを示す。具体的には、(1)プラント起動時の設備点検(2)同系統機能試験(3)プラント確認試験(4)異常発生時の措置――など。試験工程は復水器の真空上昇時の点検に始まり、制御棒引抜き後の原子炉昇圧時点検、各出力段階点検など7段階から成る。


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