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[原子力産業新聞] 2009年2月12日 第2465号 <2面>

新刊抄 悪魔の放射線I 逆手にとって生き生き生活術 田邉 裕 著

まずは「悪魔の放射線」という、逆説的なおどろおどろしいタイトル。日本人には、原爆の被害から「放射線=悪魔」とのイメージが強いというが、放射線は地球誕生時から存在しているもので、よくないイメージを逆手にとって=A放射線や原子力について分かりやすく面白く解説するのが筆者のねらいだ。

ここ数年、筆者は青森県内で一般の人々を対象に、「私たちの暮らしと放射線」と題して、知られざる放射線の魅力について、身近な例を引きながら、さまざまな角度から講演してきた。

本書はこれらの講演の中から6テーマを選び、講演でのおもしろみを残すために、実際の講話をそのまま原稿に採用した。聴衆に問いかけたり、聴衆の答えを受けてさらに話を発展させたり、読者にも楽しく飽きさせない構成となっている。

放射線の活用で誕生した冬でも枯れない緑の芝、お米や果物の品種改良、がんの検診・治療などに利用される放射線、原子力施設から放出される放射性物質などについて、時には冗談を交えながら、説明している。

筆者の田邉氏は、京都大学原子核工学科を卒業後、旧動燃事業団に入社、その後、医学博士号を取り、現在は日本の燃料サイクル事業を担う日本原燃会社の放射線管理部部長。

田邉裕著、文芸社発行。1365円(税込み)。46版、156ページ。 (き)


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