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[原子力産業新聞] 2009年2月19日 第2466号 <3面>

仏サルコジ大統領 3基目のEPR建設示唆 フラマンビル3建設サイト視察で

フランス大統領府は9日、N.サルコジ大統領が6日に同国で初のEPR(欧州加圧水型炉)として建設中のフラマンビル原子力発電所3号機の作業現場を視察するとともに、先頃発表した国内2基目のEPR建設決定に続いて、第3のEPRを建設する可能性についても示唆したことを明らかにした。

同大統領は、アレバ社およびフランス電力(EDF)の案内でノルマンディ地方の建設サイト内を一通り視察して回った後、現場作業員を前にフランスの長期エネルギー政策に関する演説を披露。その中で同大統領は、フランスが原子力を中心としたエネルギー政策を実行するに足るインフラを保有するとともに、アレバ社やEDFのみならず仏ガス公社を母体とするGDFスエズ社、国際石油資本のトタル社、タービン発電機製造のアルストム社が存在するなど、エネルギーを輸出する能力も持ち合わせている点を強調。フラマンビル3号機の建設工事が2012年の完成目指して順調に進んでいるという事実は、同大統領にフランス第2のEPRをパンリー発電所に建設することを決断させた理由の1つだと説明した。

大統領はまた、EPR1基で年間120億kWhの電力輸出が可能となり、フランス経済に6億ユーロの利益をもたらすことができると指摘。世界の原子力市場におけるフランスの優位を保たなければならないと訴えた。パンリーEPRの着工時期を2012年としたことについては、原子力産業の継続性維持を意図したためとの認識を提示。「自分は大統領に選出される前からEPR計画を支持しており、それは大統領となってからも変わらない」と強調するとともに、国内に3基目のEPRを建設する可能性についても今後数年間で熟慮し、「必要ということになれば決定を下す」と明言している。

大統領はさらに、国外のいくつかの国では有能な原子力産業を擁していながら、原子力部門への投資が停止していたがために、「新たな原子炉の建設を始めようにも必要な産業ノウハウや能力はすでに失われ、困難になってきている」と指摘。エネルギーの供給不足という事態を避けるためには産業としての原子力の継続性は非常に重要との見解を提示し、2012年にフラマンビル3号機が完成する頃、次の1基の建設を始めなくてはならないと訴えた。

大統領はこのほか、フランスでは原子力と再生可能エネルギー、および省エネによる実質的なエネルギー改革が始まっているとし、エネルギー供給におけるこれら3つのすべてについて、必要となる配慮と投資を同等に傾ける考えだと強調した。


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