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[原子力産業新聞] 2009年3月19日 第2470号 <1面>

名古屋高裁 志賀2号、運転継続 住民敗訴 北陸電力が逆転勝訴

北陸電力の志賀原子力発電所2号機(ABWR、現在出力120万6000kW)の耐震安全性をめぐり、周辺住民らが北陸電力に運転差し止めを求めた民事控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部の渡辺修明裁判長は18日、同電力側の安全性確保の主張を認め、運転停止を命じた一審金沢地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。住民側は逆転敗訴し、最高裁に上告する方針。

06年3月の金沢地裁判決は、当時の耐震指針には妥当性がないとし、地震で事故が起きる可能性を認め、国内の商業用原子炉で初めて運転停止を命じた。住民側は、一審後に改定された新耐震指針や地震の想定は不十分と指摘。07年の能登半島地震では、原子力発電所が設計時の想定を上回る揺れに見舞われたと危険性を指摘した。

北陸電力は旧耐震指針でも発電所は安全であり、活断層の調査対象を拡大し基準を厳格化した新指針に沿って補強工事を行い、耐震性には十分な余裕があると主張してきた。

特に、地震の想定や周辺の活断層について双方の見解が分かれ、住民側は未知の断層による直下地震を最大でマグニチュード(M)7.3として「北陸電力のM6.8は過小評価」と強調。邑知潟(おうちがた)断層帯の存在を軽視していると批判した。

電力側はこの断層帯の影響力は少ないと反論、能登半島地震の震源とされる笹波沖断層帯の方が影響は大きいと考えるが、耐震性に問題はないとした。


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