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[原子力産業新聞] 2009年3月26日 第2471号 <2面>

根づく柏崎市民との対話 原産協会 地層処分で「柏桃の輪」と

新潟県柏崎市を中心にエネルギー・環境問題に取り組む「くらしをみつめる……柏桃の輪」(歌代勝子代表)と日本原子力産業協会は12日、同市の市民プラザで高レベル放射性廃棄物の地層処分問題について対話集会(=写真)を開き、20数名の参加者が出席した。

両者は3年前から対話集会を重ね、今回で6回目。一方的な講演形式ではなく、互いに双方向の意見交換や質疑応答を繰り返すことによって理解を深め、信頼関係を構築することが目的。その成果は、地層処分をテーマとした受け手の目線を取り入れた分かりやすいパンフレットの協働作成にも結びついている。

当日の対話集会では、赤坂秀成・政策推進第1部マネージャーが、高レベル廃棄物の安全性について、インターネット上などで言われている問題点などの指摘や意見について紹介し、それに対する見解を示した。

集会では、原子力機構の岐阜県にある瑞浪超深地層研究所を視察した参加者から、「地層処分場の誘致の段階にきているのに、一方で研究しているような段階なのはおかしいのではないか」との指摘に対しては、今すぐに文献調査地点が決まったとしても調査に20年程度、建設に10年程度かかることを考えると、今の研究が無駄になることはない、と説明した。

「深地層の穴はいつどこまで埋めるのか」との質問には、「埋め戻す所は、縦の坑道、横の坑道、ガラス固化体を定置する穴などがあるが、どの時点でどこまで埋め戻すかは、今後の課題だ」と回答。フランスでは、いつでも取り出せる状態を100年続けるようになっており、100年後、どうするか聞いたところ、「それはその世代が決めれば良いことであって、我々が今決めるべきことではない」との答えがあったことを紹介した。

「柏崎の市民は昔、安全で大丈夫だと言われ、原子力発電所を受け入れた。それが今回地震がきて、すべて7基が停止した。止まったからいいと専門家は言うが、我々の感情としては納得できない点がある。トラウマの真っ只中にいるのかもしれない状態だ」との指摘もでた。

「ガラス固化体の輸送容器(ガラス固化体28本を含み約112トン)は大きく、たいへん重いので輸送するトレーラーも大型だ。クレーンも大型が必要だろう。すると大きなクレーンがある原子力発電所の近くが立地にはいいと言うことにならないか」との指摘も。

「誘致に手を挙げてくれた所に、感謝の心をもって応援しないとつぶされてしまう。我々が何かできないか。学者の人に伝えられないことを我々が何か伝えられないか」、「(原子力立地問題は)あなた達、田舎の人たちの問題だと言われる。みんなが電気を使っているのに、みんなで考えてほしい」などの意見も出された。


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