柏崎刈羽発電所、起動試験に大詰め 県技術委が報告まとめ

中越沖地震で被災した東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の安全性を検討している新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」(座長=代谷誠治・京都大学原子炉実験所長)の報告書「技術委員会の見解」が実質的にまとまり、同7号機の起動試験・運転再開へ向けて大きく前進した。最後まで「耐震安全性に関する審議は不十分」として同見解内容に反対していた新潟大学の立石雅昭教授(地質学)が、反対の態度は変えないものの見解取りまとめ自体には合意したもの。柏崎市消防本部が27日に同発電所に出していた火気作業などの禁止命令の解除、各市民説明会の実施と合わせて、同7号機の運転再開への前提条件は整い、泉田裕彦知事がいつ最終合意を与えるかに焦点が移った。

県技術委員会では18日、代谷座長が座長私案として「技術委員会における小委員会の論点整理に関する取りまとめ」を提示、議論がなされた。その議論に基づいて翌日、「技術委員会の見解案(3月19日版)」を作成して、各委員から意見を聴取。何人かの委員から部分的な修正意見が寄せられ、座長が修正し23日版、そして今回の立石委員からの意見提出を受けての座長判断を経て、現在、「小委員会で整理した論点に関する技術委員会の見解」(3月28日版)が最新のものとして、取りまとめられた。海外出張等で意見提出をまだしていない委員もいるが、基本的にはいまある見解が最終的なものになると受け止められている。

賛否が分かれた論点について同見解では、「佐渡海盆東縁の活断層は存在しない」、「ごくわずかな傾斜が発電所の安全性に影響を与えるとは考えられない」、「F―B断層の厚さの想定は妥当と考えられる」、「従来は十分に考慮されていなかった変動地形学等を踏まえた検討が、国の審査で行われたことを確認した」、「7号機に微小な塑性変形が地震により発生している可能性は極めて低い」などと結論付けている。

見解は「まとめ」として、「現在の知見では未だ科学的に解明することが困難な点について、全員の意見が一致するまでには至らなかった」としたものの、「総合的な観点から技術的な判断を下す段階に至った」と記述。そして、「新たな知見が得られたときには、速やかに再評価をすべきことは論を待たない」と指摘した後、今後とも必要に応じて小委員会等での検討を行う考えを示している。また、東京電力に対しては起動試験の途中や終了段階で、試験結果の報告を求めている。

立石委員から修正意見、見解取りまとめにあたっての同意声名が出されたことも附記している。


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