東芝、ロシア・AEP社が合意 U濃縮工場建設も 原燃サイクル市場での協力目指す

ロシアの国営原子力総合企業であるロスアトム社はこのほど、傘下のアトムエネルゴプロム(AEP)社と東芝が日本およびアジア諸国における原子燃料サイクル市場で協力して行くことで合意に達したと発表した。

AEP社のV.トラビン社長によると、今回合意した協力活動は昨年3月に両社が結んだ基本合意に基づくもの。両社は@ロシアの新規原子炉建設エンジニアリングA大型機器製造と保守Bフロントエンド事業――などで戦略的で相互補完的なパートナーシップの構築を目指した協議を実施することとなっていた。

今回の合意により、両社は原子燃料と関連機器を納入する合弁事業の設立を検討中。国家レベルのエネルギー供給保障のために確実に燃料供給が可能な市場基盤を整えていき、低濃縮ウランを燃料加工工場の敷地内に備蓄する件に関しても協議を進めている。また、ロシアの技術によるウラン濃縮工場を日本国内または第三国に共同建設する可能性も詳細な検討を始めることとなった。

両社はさらに、ロシアの原子力発電所の建設工期短縮を目的とした設計手順および建設技術の改良についても共同で研究して行くことで合意。製造分野に関しても、発電システム製造の共同事業に向けて協力体制確立のために研究を続けて行くとしている。

今回の合意についてトラビン社長は、両国政府が現在進めている原子力協力協定の締結交渉に際しても、今後、両国の原子燃料企業が相互に有益な協調関係を築いて行く上で良い例になるとの見解を示した。一方、東芝の西田社長もロスアトム社の発表資料の中で、「核燃料サイクル製品とそのサービス事業において、我々の協力関係が強化されるだけでなく、世界的な原子力開発にも大きく貢献」と強調している。


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