南アと中国 高温炉の研究開発で協力

南アフリカ共和国のペブルベッド・モジュール・リアクター(PBMR)社は3月30日、ペブルベッド技術に基づく高温炉(HTR)の開発および商用化への協力で、中国の精華大学核能技術研究所(INET)、中核能源科技有限公司(シナジー社)と、北京で了解覚書(MOU)に署名したと発表した。

HTR開発を積極的に推進している両国では、HTR熱源としてペブル燃料を使用する点では共通するが、中国が間接サイクルの蒸気ガスタービンシステムを使うのに対し、南アは直接サイクルを採用している。

中国側の実績としては、北京にあるINETの高温ガス冷却研究炉(熱出力1万kW)が2000年に起動し、03年には定格出力に到達。現在は同国で初の商業規模の高温ガス冷却炉(熱出力25万kW、電気出力21万kWの原子炉モジュール2基)となるHTR−PMの建設を山東省で計画中で、今年9月にも実証プラントの建設を開始し、13年以降の完成を目指している。

一方のPBMR社は、近年、国内外でプロセス熱および電熱供給市場への関心が高まっていることから、間接サイクルの蒸気タービンシステム技術を開発中。当初の目的は発電用PBMRの開発で、今年初頭には9.6%の濃縮ウランを含む黒鉛被覆燃料球の製造に成功したが、現在はプロセス熱の利用に比重を置いた設計を進めている。

今回の覚書は、互いの技術に対する敬意から調印に至ったもので、両者は今後、エネルギー需要が拡大する両国での相互利益を目指し、ペブルベッド技術分野で協力することになる。PBMR社はまた、ペブルベッド技術に基づく高温炉は、米国の次世代原子力プラント計画(NGNP)の設計候補としても期待が高いと強調している。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで