原子力機構 ITERで世界初 ダイバータ実機見通し 2011年度から量産目指す

原子力機構は国際熱核融合実験炉(ITER)の実現に向けて開発を進めてきた核融合炉内機器の1つであるダイバータの実機製作のための性能評価試験用ダイバータ試験体をカワサキプラントシステムズ社、東洋炭素、アライドマテリアル社、大和合金の協力を得て製作し、このほど高熱負荷試験に世界で初めて成功した、と発表した。

ITERのダイバータは、従来の工学機器では未経験の1平方メートル当たり最大20MWという高熱負荷に耐えられる構造が不可欠であり、炉心プラズマの最も高い熱負荷に耐えられる強固な設計が求められている。

ITER参加各極は、ダイバータ調達の納入基準となる1平方メートル当たり20MWの熱負荷で1000回以上の耐久性を達成すべく、長年研究開発を進めてきた。

この条件をクリアするため原子力機構では、高熱負荷に耐え、純銅を超える高い熱伝導性を持った炭素繊維複合材に着目し、炭素繊維複合材製の表面保護タイルを銅合金製の冷却管に「ロウ付け」する構造の開発を行ってきた。

ただ、この表面保護タイルは、冷却管の銅合金よりも熱膨張係数が小さいため、冷却管との直接接合が困難だった。特に多孔質でもろい性質の炭素繊維複合材と銅合金製冷却管の組み合わせ寸法精度の管理や、中性子環境下で使用可能な特殊なロウ材を用いた際の接合不良の克服が大きな課題だった。

そこで同機構では、長年のITER工学設計活動で得た知見に基づき、表面保護タイルと冷却管の間に柔軟な純銅製緩衝材を挟み、ロウ付けすると共に、炭素繊維複合材の接合面にあらかじめチタンを塗布して金属化を図り、プラス・マイナス5ミクロンの組み合わせ寸法制度を達成し、接合不良を克服した。

この技術で製作した性能評価試験用ダイバータ試験体の高熱負荷試験を、ITER機構が指定するロシアのエフレモフ研究所で行った結果、判定条件を達成したため、原子力機構はITER機構から、ダイバータ調達極(日・欧・露)で初となる実機ダイバータ製作に必要な技術能力を認定された。

この成果をもとに原子力機構は今年度より、ダイバータ実規模プロトタイプの製作を行い、2011年度を目途に実機用ダイバータの量産およびITER機構への納入を開始する見通しだ。

【最大20MW/平方メートル】家庭用のホットプレートの約2000倍の熱量で、2リットル入りやかんの水を2秒で沸騰させることができるような熱量。


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