国際戦略小委 報告書案を了承 各国からの期待に応える

総合資源エネルギー調査会・原子力部会の下にある国際戦略検討小委員会(小委員長=田中知・東大院教授)は17日、経済産業省で第5回会合を開き、国際動向の分析とわが国の今後の国際対応のあり方を取りまとめた報告書(案)を基本的に了承した。報告書は、「多くの関係者が意思を共有し、時を逃さず具体的な行動をとり、目の前に拡がる可能性を現実のものとしていくことを強く期待する」と締めくくり、田中委員長は報告の内容に関して「絵に書いた餅にならないようにしてほしい」と述べた。

同報告書は、22日の原子力部会に正式に報告され、1か月程度パブリックコメントに付される。

報告書では、現在のウラン資源の可採年数は長く約100年分と指摘する一方で、ウラン鉱石や濃縮など燃料需給は逼迫の懸念が高まりつつある、と捉えている。

一方、新規導入国の拡大に伴い、国際的に核不拡散(保障措置)、原子力安全、核セキュリティの3Sの必要性が強まっていることから、燃料供給保証構想や国際ウラン濃縮センター提案などがなされている、と記述。

今後の主要課題に対応した戦略として、(1)核燃料サイクル産業基盤強化と国際連携(2)電力・メーカー連携、官民連携の促進(3)積極的な原子力外交の推進(4)人材、金融、制度面での環境整備D素材・部材産業まで含めた技術力の強化――をうたっている。

特に燃料サイクルの確立では、「新規導入国等はウラン燃料の安定調達を重視している。燃料関連サービスの提供可能性は、原子炉の競争力にも影響を与える方向にある」と指摘。国内での新型遠心機の早期導入(設備容量目標1500トンSWU/年)、さらには同設備容量の増量、ウラン備蓄、第二再処理工場の検討の必要性を指摘。

報告書をまとめるに当たり、委員の兒島伊佐美・日本原燃社長は「各論では微妙なバランスをとることが必要な内容になっている。明確にしすぎると日本は(国際交渉で)言質をとられる。“国際管理”と言うとき、日本がひとり先走りすることのないよう、先進国も巻き込んだ協力とすべきだ」と今後の対応について意見を述べた。

最後に西山英彦・資源エネルギー庁電力・ガス事業部長が締めくくりの挨拶をし、「世界中で原子力発電導入の動きが一段と広がっており、日本への期待も大きい。協定作りなども含めスピーディに対応していきたい。部材・部品メーカーへの支援も今年度補正予算で考えている」と述べた。


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