【Fresh Power Persons(4)】 中部電力 浜岡原子力発電所 技術部技術課 松澤 幹浩氏 「MBA留学」へ勝負の年 原子力をビジネスの視点で捉えたい

―松澤さんは原子力技術者ですか。

松澤 私は東北大学工学部出身で、大学院も含め材料加工プロセス学を専攻した。材料の製作をどのように行い新機能を付与するかの加工プロセスの研究が専門で、原子力とは直接関係なく、どちらかというと半導体分野とのつながりが深かった。中部電力入社に際し、材料系の自分を生かせるのは耐熱性や応力腐食割れ等で関連する火力か原子力部門と思い希望したところ、浜岡原子力発電所に配属された。原子力技術についての知識は乏しかっただけに絶対負けたくないとの思いから、まず一般の原子力技術者が備えている基礎知識のベースになっている原子炉主任技術者の国家資格を取得することをペースメーカーに、皆にキャッチアップすることを第一課題に定め必死に勉強した。入社6年を経た今、完了といえないまでも一般的知識は身につき、技術者として成熟してきたとの自信も深まったので、次のステップへ踏み出すタイミングを迎えたとの思いでいる。

―今回、向坊隆記念国際人材育成事業として7月に英オックスフォード大で開催される世界原子力大学(WNU)夏季研修生派遣に応募、合格したのもその一環か。

松澤 私はもともと国際舞台で仕事をしたいという強い思いがある。WNUの夏季研修は例年、世界30数か国から30歳前後の実務経験者百名程度が参加し、国際機関や各国の第一人者から直接講義を受け、各課題ごとに少人数での議論を経て自らの結論を皆の前でプレゼンテーションする合宿形式で行われる。

基礎学の講義を受けるだけなら本でも学べるが、すべて英語でディスカッションして課題解決に向けて悩み、解決策を模索することにすごく共感を覚え、私自身が求めている洞察力、分析力を発展させ、国際舞台でもまれるまたとないチャンスだと思い応募した。特に、海外経験を積んだ多くの人が「彼らはプレゼンが実に上手い。自分の考えをロジカルに語り、ディスカッションに強い」と口をそろえるので、私が吸収できることはいっぱいあるだろう。研修を通じて自分の目で確認し、スキルを習得するのを一番の楽しみにしている。

―中部電力における、自らの将来設計は。

松澤 中部電力での出発点は原子力のベースとなる技術力を身につけることにあり、これからも「原子力を軸足にする」ところまでは限定したいと思っているが、この先、原子力の技術だけを深めていくのではなく、社会学的な見識も備えたいし、ビジネス・経営学等すべての知識を合わせもったうえで企業としての意思決定を行えるビジネスマン像を心に描いている。特に政策マターやビジネスへの興味が強く、原子力発電をベースロードに安全、安定的に電気を供給していくことが電力会社の使命ながら、それをビジネス・経営の視点で捉え、扱えるようにしていきたい。

しかも、今後の電力経営は国際的視野・感性、ネットワークが不可欠の要素となることとも考え合わせると、私はどうしても欧米でビジネスエリートのパスポートとなっているMBA(経営学修士)を取得できる海外のビジネススクールに留学(2年間)したいとの念に燃えている。こうした思いを上司に伝えたところ、「今年1年限り」の期限付きで受験を許可してもらえた。ただし、レベルが高く難しいので、「もし合格できなかったら別の道を考えろ」と、くぎを刺されている。

それだけに、今年は私にとってまさに勝負の年≠ナあり、WNU夏季研修参加もそのためのステップアップだ。プレッシャーもあるが、自ら望んだチャンスを与えられただけに全力で挑戦し、国際舞台でイニシアチブをとり企業経営にも貢献できる人材を目指したい。(原子力ジャーナリスト 中 英昌)


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