【第42回原産年次大会】 セッション2 基調テーマ「世界的な原子力利用拡大のなかでの日本への期待と役割」 経済産業省電力・ガス事業部長 西山英彦氏 「日本の強み」を世界へ

地球温暖化問題への関心の高まりや資源価格の高騰を背景に、原子力発電の導入・推進に向けた流れが世界的に拡大・加速している。

09年4月現在、原子力発電を導入している国・地域は31に上っており、計436基3.7億kWが運転中となっている。今後、新たに原子力発電の導入を検討している国も、20か国以上に上っており、最近では、今年のG8開催国イタリアが原子力の導入を表明したことが注目されている。日本が経済的に深い関係を持つ東南アジア諸国も原子力の導入に積極的である。さらに、豊富な化石燃料を埋蔵する中東の産油国ですら、原子力に対する強い関心を示している。

世界的に拡大する原子力発電計画だが、IAEAによると、30年までの世界の原子力発電設備容量は、現在の30〜100%の幅で増加すると予測している。これは基数に換算すると100〜380基に相当し、世界全体でみると、年間5〜17基を建設するという非常に速いペースである。この予測によれば、30年までに新たに最大23か国が原子力を導入しているものとみられる。このように原子力を肯定的に評価する世界の動きは、単に技術としてだけではなく、国際首脳会議の場でも確認されている。原子力発電に豊富な実績を持つ日本がこうした国際的に好ましい動きに対し貢献していくことは、一層重要になってきていると考える。

原子力分野での日本の強みだが、まず、建設能力と実績があげられる。日本は、80年代以降の「原子力冬の時代」にも、新規建設を着実に推進し続け、この実績によって、原子力発電所を建設できる産業を持った数少ない国となっている。さらに、技術面での先進性、信頼性とともに、民間の電力会社が建設・運営を担当することにより、予定工期通り、予算内で建設できる能力と実績も保っている。この点で、世界は、日本の原子力発電所建設能力を高く評価していると考えている。


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