【第42回原産年次大会】 セッション2 基調テーマ「世界的な原子力利用拡大のなかでの日本への期待と役割」 タイ科学技術省原子力庁長官 シリチャイ・ケインミスク氏 天然ガスも逼迫へ

タイが07年に策定した電源開発計画に、原子力を含めている背景としてはまず、エネルギー安全保障がある。タイでは、湾岸に産出する天然ガスが電力供給の約70%を占めているが、埋蔵量は今後30年分にも未たず、決して多くはない。

そして、地球温暖化、温室効果ガスの削減を早急に行わねばならないという世界的な使命がある。さらに、長期的にエネルギー価格の安定性、競争力を維持すること、ここ5、6年で、石油、天然ガスの価格は3〜4倍に膨れ上がり、また、乱高下している。代替エネルギー源が安定的な価格を持ち、温室効果ガスを排出しないものでなければ、エネルギー価格は今後20〜30年の間に、さらに乱高下、高騰することが予想される。

電源開発計画では、100万kWの原子力発電所を20、21年にそれぞれ2基導入することを決定していたが、設備容量過剰を背景に、今年に入って、各年で1基ずつに変更している。電力公社内には、「原子力発電インフラ準備委員会」が設置され、原子力発電計画の準備作業を進めている。これに基づき、11、12年頃、原子力開発の是非について、最終的な閣議決定がなされることとなる。電力公社では既にサイト調査を行っており、終了後、原子力庁がその報告書を精査する。関連して、3、4か月前、電力公社は、米国企業より、原子力の経済性、環境保全など、フィージビリティ・スタディに向けたコンサルタントを受けている。

原子力発電を実施に移す際、必要なのは、法規制、国際的コミットメントということとなるが、安全、セキュリティ、保障措置についてはIAEAとも協力し、国内でも規制当局設置の準備を進めなければならない。


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