【第42回原産年次大会】 セッション2 基調テーマ「世界的な原子力利用拡大のなかでの日本への期待と役割」 チリ原子力委員会委員 フリオ・ベルガラ・アイモーネ氏 著しいCO排出増

チリは、アルゼンチンからの天然ガスにエネルギーの多くを依存しているが、2年ほど前、同国で消費過剰となった結果として現在、輸入が途絶えている状況だ。既に起きていた経済成長低下の回復のため、基幹電源確保の可能性について検証を行ってきた。国内に化石燃料はほとんど存在せず、電源構成は水力が最も多くを占めている。

チリでは、CO排出量の増加が著しく、その点からも、電源開発のオプションは限られているが、実際、石炭火力が電力供給増加分のほとんどを占めている。しかしながら、ポスト京都議定書の国際枠組への参入を免れないとすると、持続可能なエネルギーを求めていく必要があるということで、原子力が選択肢としてあがっている。

チリでは既に、研究炉、放射線施設を持ち、原子力については全くの未経験ということではないのだが、発電炉を電力系統に接続するとなると、消費地が非常に離れており、インフラ整備上の問題などから、大型炉ではまだ15年はかかる。だが、中小型炉であれば、立地や耐震設計も容易で、原子力により、電力供給の他、砂漠地帯での淡水化や鉱山操業も期待できそうだ。一方、反対派の動きも激しく、環境保護団体が政治に与えている影響も大きい。現政権は、反原子力の立場をとっているが、産業界、マスコミの働きかけにより、政府に原子力発電委員会が設立され、検討してきたところ、「原子力発電を除外すべきでない」との提言が出された。注目すべきは、「地震多発を理由に原子力を排除することはできない」という意見が出ていることもあげられる。私は原子力発電を有望と考え、導入に向け、先進国の支援を是非仰ぎたいと思う。


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