【第42回原産年次大会】 セッション3 基調テーマ「低炭素社会における原子力の役割」 基調講演 河瀬一治・全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長/敦賀市長 「地域の視点からの信頼醸成」 透明性確保で安心を 発電所と住民の共存

全原協は昭和43年に、15の立地市町村により発足した。原子力発電所立地によって生じる諸問題を結束して解決し、住民の安全確保と地域の福祉をめざす任意団体として、現在31市町村で構成されている。敦賀市をはじめとする立地市町村は、原子力の最前線で推進に苦慮してきた。しかし、原子力発電が温暖化対策の切り札とまで言われ、低炭素社会の実現に大きく寄与している今日、改めて誇りを感じている。

立地地域住民は身近に原子力発電所があり、既に生活の一部と感じているが、不安はゼロではない。原子力発電所があるよりもないほうが安全だし、ないよりもあるほうが心配だ。潜在的な不安を100%拭い去ることはできないが、それも正しい知識と正しい理解により不安を減らすことはできる。事業者側は、常に「何かあればすぐに知らせるという姿勢」と「発電所のことを知ってほしいという姿勢」を忘れず、的確な情報提供と高い透明性を確保することが非常に重要である。地域住民の不安を解消し、信頼・安心を得るために重要なこととして以下の5点を挙げたい。

(1)国の安全規制に信頼があること―ブレない政策があり、国が安全性に責任を持つことが大切。

(2)事業者の安全活動がクリアで信頼があること―現場の作業者が知識と体験を活かした判断力を持つ。また報告が後から出されて信頼が崩れるという例も多い。自治体への電話1本でよいので、小さなことでも知らせてほしい。高い透明性が安心へとつながる。

(3)相互のコミュニケーションがあること―一方的な押し付けの広報ではなく、広聴活動など、常にアンテナをはって住民の思いを感じ取る姿勢が必要。先日若手芸人を起用した広報番組を作り、地元のテレビで放映した。住民にわかりやすく、かみくだいた説明をするよう工夫している。広報予算の確保が難しい時代ではあるが、今までどおり予算を組む努力をお願いしたい。

(4)風評被害などの不条理な負担を負わされないこと―過去にも敦賀市内の道路を通過するバスのガイドが「窓を閉めてください」とアナウンスしたり、新潟県中越沖地震で外国のサッカーチームが訪日を取りやめたりした例があった。報道はもとより情報発信や教育のあり方を考えることが大切。小学校の頃から原子力の利点と欠点をしっかり教えるなど、正しい知識で正しく理解をすることで見えないお化けを怖がるような状態を改善してほしい。

(5)万が一の際の防災対策が万全で信頼があること―訓練は不安をあおるという意見もある。過去には絶対に事故を起こさないから訓練はしないでいいという時代もあった。しかし「もしも何かあっても私たちは大丈夫だ」という実感を持ってもらうためにも、対応能力を高めておくことは重要。

原子力政策の原点は地域住民である。「自分の街には原子力がある」と自信を持って言えるよう、発電所と地域住民が安全・安心の中で共存共栄する環境づくりに最大の努力をしていきたい。


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