Mo99供給ネット作り RI協会 原子力委に報告

日本アイソトープ協会は、19日の原子力委員会で「医療用アイソトープ原料の安定供給にかかえる現状と取組むべき対応」について報告した。

日本は、がんの診断薬(テクネチウム造影剤)の原料となるモリブデン99を製造していない一方、全世界の需要の14%を占めている。世界的にもテクネチウム造影剤の需要が増しており、モリブデン99製造のため新原子炉を建設する韓国や、2基の原子炉で製造する中国、原子炉オパールの製造開始が待たれるオーストラリアなど、周辺国でも供給対策が行われている。

また現在、モリブデン99を製造している原子炉は高経年化が進んでおり、今後世界的な供給不足が予測される。2007年にはカナダ原子力公社(AECL)のNRU炉トラブルによる供給危機があり、大きなパニックは避けられたものの、より能動的な対策の必要に迫られている。

こうした状況をふまえ、同協会は安定した供給をめざす計画として、@JMTR(材料試験炉)によるモリブデン99の製造を開始し、2013年には日本の全需要の約20%を補完Aモリブデン99は製薬会社へ残し、病院等へは製剤で供給Bアジア・オセアニア圏におけるネットワークの構築C中国・韓国・日本の3国ラジオアイソトープ(RI)協会が集結する今年10月開催の会議で3国共同体制作り――などの提言を行った。特に供給危機の際には、国家間ネットワークが重要になるとしている。

折りしもAECLは、NRU炉で15日、重水漏れが発見され、医療用アイソトープ生産企業であるMDSノルディオン社に23日からモリブデン99の供給が滞ることを通知、修理には1か月以上かかる見込みだ。


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