国内モリブデン供給 今週の最悪期脱出へ がん診断原料 オランダから購入

がんの診断薬となるテクネチウム造影剤の原料モリブデンを生産するカナダ原子力公社(AECL)のNRU炉の重水漏れ事故で、日本への供給も滞っている中、日本アイソトープ(RI)協会は9日、緊急連絡の第6報として、「モリブデン原料の代替入荷について、一時的かつ少量ではあるが、見込みが立った」として、6月15日から27日までの供給可能なテクネチウム製品の具体的な内容を、供給会社の日本メジフィジックス社と富士フイルムRIファーマ社別に示した。

また、29日以降の供給状況については、分かり次第連絡するとしている。(=3面にNRU炉の現況記事)

同協会の担当者によると、今週が供給不足の最悪の状況となる見込みであり、来週からはオランダのHFR炉からのモリブデンをスポット価格で購入することで、少しずつ供給を増やしたい、としている。しかし、世界市場でのスポット価格は高騰しており、どこまでの量を確保できるかは不確定。HFR炉からのモリブデンを定期購入できるようになれば、供給も比較的安定してくる。ただ日本では薬価の上限があり、赤字覚悟の供給がしばらくは続く見通しだ。

オランダのHFR炉も老朽化が進んでおり、一次冷却系配管の腐食変形が見つかり、昨年8月から今年3月まで修理のため運転を停止していた。いまもフルパワー運転には至っていないと伝えられている。


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