経産省 既存炉活用に全力 「計画、着実に前進を」 温暖化防止に「待ったなし」 推進強化策まとめ

経済産業省は18日、総合資源エネルギー調査会・原子力部会(部会長=田中知・東大院教授)で2月から4回に分けて審議してきた「原子力発電推進強化策」について、同日の部会了承を経て発表した。10日に麻生首相が決断した温室効果ガス排出の2020年中期目標「05年比15%減」の政府方針を受けて、「原子力発電の活用なくしては、エネルギー安定供給はもちろん、地球温暖化問題への対応はおよそ不可能である」と強調し、特に「既存炉の活用」と電力供給計画で予定している18年度までの9基新増設を着実に進めることを、前面に押し出している。

既存炉の高度利用では、わが国の原子力発電所の設備利用率を主要国並み(80〜90%)に向上させること、そのためには安全安定運転の実現・継続が不可欠であることはもちろん、電気事業者側からは、@計画外停止後の再起動の円滑化にもつながる新しい保全技術の導入A設計・保全・運転等の分野でのリスク情報の幅広い活用B運転段階のみならず建設段階におけるプロセス型検査の導入――などの意見が示されている、と指摘している。

六ヶ所再処理工場の操業に向けた取り組みでは、「スケジュールありきではなく、安全を最優先にガラス固化試験の課題解決に向けて全力で取り組む」方針を確認している。また、使用済み燃料の中間貯蔵施設の立地・整備、プルサーマル実現に向けた国による最大限の支援なども盛り込んだ。高レベル放射性廃棄物の処分事業の最初の段階である文献調査については、「NUMOによる公募または国による申し入れにより、早期に数か所以上のできるだけ多くの個所で行う」ことを目標としている。

18日の原子力部会では、委員から「麻生首相の温室効果ガス排出削減の中期目標の発表で、原子力発電の重要性を国民に訴える絶好の機会だ」、「計画が絵に描いた餅に終わらないよう着実な実行を」、「電力需要が伸びない中での電力設備投資を求められることになり、国民の理解も必要だ」といった意見が出された。


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