オランダ 次期政権の政策転換見越し ボルセラで新規増設計画

オランダで唯一稼働するボルセラ原子力発電所を半分所有するデルタ社は6月25日、同発電所サイトにおける2基目の原子炉建設で認可申請するための手続きに取り掛かると発表した。今後の電力需要増に応えるために原子力を重視し、2011年以降、次期政権が現在の消極的な脱原子力政策を廃止することを見越して産業界が新たな動きを開始したもので、欧州でさらに一国、原子力政策の転換が期待される展開となってきた。

オランダでは1986年のチェルノブイリ事故の影響で、決定済みだった2基の新規原子炉建設計画を凍結したのに続き、95年以降は新規の原子力発電開発を中止。97年にはボルセラ発電所(PWR、51.2万kW)以外で唯一稼働していたドーデバルト原子力発電所(BWR、5.8万kW)を経済的理由で閉鎖している。2006年には一時、新規建設の可能性も浮上したが、現在の連立政権はボルセラ発電所の運転は継続するものの、2011年までの任期中に新規建設を行わないことで合意に達している。

しかし、デルタ社によると、オランダの電力需要は年間1.5〜2%の割合で上昇しつつあり、2030年までには30〜40%増加すると予測。それまでに既存の発電設備は火力発電所も含めてリプレースが必要になる。また、太陽光や風力など再生可能エネルギーが2100年頃までに総需要の60〜70%を供給できるようになるまでは、原子力のように信頼性が高くて料金も手頃、カーボンニュートラルな電力供給の可能な電源が重要な役割を担うと指摘。同社のP.ボーマCEOも、「原子力は何としても必要だ」と断言しており、太陽光発電と並行して原子力に投資することにより、十分な電力供給とCO対策を推し進めていくとの考えを強調した。

ボルセラ発電所サイトを立地点に選んだ理由として同社は、(1)すでに既存の原子炉が操業中(2)地元ボルセラ町のみならずゼーラント州の電力供給に幅広く貢献(3)同州は35年にわたる原子力発電実績があり、オランダの原子力発電センターとなり得る(4)放射性廃棄物の安全な貯蔵・管理を中央放射性廃棄物貯蔵機関(COVRA)に委託できる(5)冷却水が潤沢−−などを列挙。政府の第3次長期電力供給計画における最良のオプションをボルセラ・サイトが提供していると説明した。

手続きの手始めは管轄の住宅環境省に新規事業覚書を提出することで、同社はほどなくそのための準備作業に取り掛かる。新規事業覚書によって、環境影響調査のためのガイドラインが関連法規に則って設定されることになり、独立の委員会が環境影響調査の報告書案を審査。その後、公開諮問を通じてデルタ社の認可申請について一般市民からの意見等を聴取し、政府が判断を下すという段取りだ。

デルタ社の現在の計画では、2011年末までに認可申請書を提出し、次期政権による審査を受ける。すべてが首尾よく運べば翌12年には建設許可の申請が可能になり、13年に着工。平均的な建設期間を5年として、操業開始は18年を予定している。総工費は40億〜50億ユーロ程度と見積もっている。


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