米DOE チュー長官 原子力教育支援に900万ドル

米エネルギー省(DOE)のS.チュー長官は6月16日、米国で次世代の原子力開発を担う学生達の教育研究支援を目的とした「2009原子力エネルギー大学プログラム(NEUP)」の下で、原子力科学・工学研究が行われている全米23州の大学・短期大学29校に総額600万ドルの補助金を交付するほか、同分野の学部生と大学院生、合計86名に対して総額290万ドルの奨学金を提供すると発表した。

大学・短大へのインフラ補助金は一校に付き1件で、交渉により10万ドル〜30万ドルを9月末までに支給する。具体例としては、訓練用原子炉へのフル・デジタル制御系設置やバックアップ用電力供給機器、取替え用制御棒の整備、原子炉安全と原子力物理研究のための計測装置等の設置で申請があったとしている。

一方、奨学金の対象となった学部生は合計70名で、来年分の学費として1人に付き5000ドルを支給されるほか、特別研究奨学金については16名の大学院生が、1人に付き年間5万ドルを今後3年間の研究活動費として9月末までに支給される。

NEUPには、全米の優秀な学部生・大学院生の関心を原子力科学・工学研究分野に引き付ける役割があり、全米の教育機関での原子力研究インフラ整備を支援。研究炉や原子力研究専用施設、および研究所などで新たな設備・機器の整備を促進するため助成金を交付している。

2009年のNEUPについてDOEはこのほか、昨年12月に先進的燃料サイクル構想(AFCI)や次世代原子炉、第4世代原子力システムなどの分野のプログラムを対象に、全米の大学・短大に研究費助成の申請を呼びかけた。5月にはチュー長官は、同枠内で31大学の原子力研究開発プログラム71件に対して、3年間で総額4400万ドルを支給する計画を発表。高速炉におけるリサイクル研究や新型燃料のトラブルに関する研究、高温ガス炉関係の研究等に補助金を支給することが決まっている。

チュー長官は「原子力研究分野での米国のリーダーシップは、長期的なエネルギー自給と温暖化防止に取り組むために非常に重要だ」と強調。次世代の原子力エンジニアが米国の原発を研究、設計、建設、運転、および維持していくための訓練が必要だと説明した。また、「このような学生達の教育や大学のインフラ、設備整備への投資により、COを出さない重要なエネルギー源の研究で米国が常に最先端の地位を確保することになるだろう」と述べて、その意義を強調した。


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