GE日立のウラン濃縮会社 商業規模のレーザー濃縮工場で 建設・操業認可を申請

米国のグローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)社は6月30日、世界で初の商業規模のレーザー法ウラン濃縮工場について、建設・操業の認可申請書を1月に部分的に米原子力規制委員会(NRC)に提出したのに続き、残りのすべての部分を提出した。

GLE社はGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社の子会社で、昨年6月には世界でも大手のウラン生産業者であるカナダのカメコ社が24%資本参加。2006年に豪州のサイレックス・システムズ社から取得した濃縮技術(六フッ化ウランを励起するレーザー分子法)の商用化、および運用の独占実施権により、米ノースカロライナ州ウィルミントンにU235を8%まで濃縮可能な、処理能力3500トン〜6000トンSWUの商用濃縮施設の建設を計画している。

NRCによる審査は約30か月間と見積もられており、GLE社の申請を正式に受理した後に開始される。審査手続きの効率化を図るためにNRCでは事業者が申請を部分的に行うことを認めており、GLEはすでに今年1月末、申請の中でも重要な部分を占める同施設の環境影響報告書を提出。NRCは3月に、同報告書が正式な審査の開始に必要な要件を完全に満たしていることを認める判断を下していた。

米国では、ロシアの核兵器解体から出る高濃縮ウランを希釈して米国の商業炉用低濃縮ウランに利用するプロジェクトが2013年に終了するほか、新しい世代の原子炉建設計画が全米で進行中。こうした背景からGLE社では、今後数年間に世界の低濃縮ウラン需要は実質的な規模で増加すると見込んでおり、次世代技術を使ったウラン濃縮施設によって原子炉用低濃縮ウランを米国内で供給するとともに、究極的には温室効果ガスを出さない原子力の利用拡大を通じて米国のCO排出抑制に貢献する考えだ。

同社はまた、今回の申請が承認されれば、同施設のエンジニアリングやサポートで300名分の正規雇用と、建設工事要員として500名分の雇用が創出されるとしている。

GLEは現在、ウィルミントンのGEH本社で、サイレックス濃縮技術の商用化実証テストループの開発段階にあり、同技術の商業規模での実行可能性を確認するとともに、機器や設備、プロセスの設計を進める計画。同ループからの情報により、商業規模施設の建設について最終的な評価・判断を下す予定である。


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