RI協会討論 Mo99国産化への期待大きい

日本アイソトープ(RI)協会は1〜3日、日本科学未来館で第46回アイソトープ・放射線研究発表会を行った。1日のパネル討論の中では、世界的に解決が急がれているMo99/Tc99m安定供給の確保について討論された。Mo99/Tc99mは、現在もカナダNRU炉の停止により不安定な供給状態が続いており、日本は現在、世界のMo99の14%を使用している。(=3面に関連記事)

そのような状況の中で、「大騒ぎをしているのは供給側のみで、医療現場はどうなのか」との指摘に対して、防衛医科大学校の小須田茂氏は、「大病院の場合は優遇されており、あまり打撃がなかったが、中規模病院では供給が停止し、手術ができない所もある」と述べた。

また、討論では国内Mo99需要の20%分を製造するということを目標に国産化を期待する声が大きかった。ただ前途には多くの課題を抱えているとして、@初期投資額10億円とされる費用負担の問題A供給不足に際し医療関係者からの悲鳴は聞こえるが、肝心のユーザーからの具体的なニーズが不明B国の支援の有無等、国の考え方が不明確C技術者の人材問題DPZC(高性能Mo吸着材)の有効性など技術的な問題――が挙げられる。

今後、核不拡散の観点から高濃縮ウランが使えなくなることを考えると、いま計画されている原子力機構のJMTRでの高濃縮ウランを使用せずに製造する(n、γ)法を実証し、将来的に国内需要の100%製造と海外への輸出も可能となれば、日本が今後国際貢献できる可能性も開けてくるとの期待も示された。


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