【クローズアップ】次期IAEA事務局長 天野之弥大使に聞く 日本への期待大きい 不拡散と平和利用の両立を

7月2日の国際原子力機関(IAEA)理事会で次期事務局長に選出された天野之弥・在ウィーン国際機関日本政府代表部特命全権大使が帰国したのを機に、東京・霞ヶ関の外務省で17日、インタビューした。(河野清記者)

――今回の事務局長選挙では、どのようなことを訴えられたか。

天野大使 IAEAは世界的に“核の番人”ということで有名だが、もう一方の重要な使命に原子力の平和利用推進がある。この2つの使命を果たせる国際機関を実現したい。日本は広島、長崎の被爆経験を持ち核拡散には強く反対してきており、一方で原子力の平和利用ではすばらしい技術を保有している。これらの経験を世界と共有したいと訴えた。

――IAEAは、世界的な原子力利用拡大の流れの中で、燃料供給保証と核不拡散政策の強化を図ろうとしているが。

天野大使 市場が機能しない場合、国際的に安定した燃料供給を受けるための議論は、IAEAの場が適していると考える。ただ多くの国の中には、一部の持てる国が、持たざる国々を規制し制限を加えてくるのではないかとの猜疑心も根深い。技術的にも法的にも解決すべき課題も多く、急がず、議論を尽くすことが必要だ。

イランはIAEAの加盟国であり、包括的保障措置も受け入れている。ただこの20年間に未申告の原子力活動があったことが明らかになっており、国際社会の信頼がなくなっている。国連の安保理決議やIAEAの決議を遵守すべきだ。

インドの原子力開発の拡大に伴い、インドへの原子力輸出問題が大きな課題として浮かび上がってきたが、基本的に同国の原子力施設の多くがIAEAの保障措置下に置かれるようになることはいいことだ。原子力供給国グループ(NSG)が全会一致(コンセンサス)で認めた意義は大きい。ただ、この問題に対して具体的にどうするかは、各主権国の問題だ。

――原子力ルネッサンスと核拡散の脅威が叫ばれるこの時期に、初の日本人事務局長誕生を、自身はどう捉えるか。

天野大使 日本は被爆国であり、核不拡散に力を注いできた。またアイソトープ利用を含め優秀な原子力技術も持っている。歴代の事務局長は米国、欧州(2人)、アフリカ出身者、そして今度は日本。決められたローテーションがあるわけではないが、いま、世界の発展はアジアが中心で、原子力でもアジアの役割、特に日本の果たす役割は大きい。

――日本のIAEAへ期待は。

天野大使 貢献には人、資金、技術などがあるが、人材の面で若い人、特に女性の参加を期待する。 (2面に関連記事)


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