安全委が評価結果示す U廃棄物のクリアランス

原子力安全委員会のウラン廃棄物埋設検討小委員会(主査=井口哲夫・名古屋大学工学系研究科教授)はこのほど、ウランの濃縮や加工などから発生する放射性廃棄物に関するクリアランスレベル評価結果を示した。同委の第1次中間報告案としてとりまとめられたもの。

小委員会では、原子力機構による研究施設等廃棄物の埋設処分業務開始などを見据え、ウラン取扱い施設から発生する資材等のうち、クリアランス対象物の大部分を占める金属に対するU234、U235、U238のクリアランスについて、調査・審議を行ってきた。安全委員会ではこれまで、原子炉施設のクリアランスレベルについて、IAEA安全指針に示された人工起源の放射性核種に対する評価方法等を抽出するなどし、クリアランス報告書をとりまとめている。今回、これらウラン3核種のクリアランス検討に際しては、これらが自然起源の放射性核種である一方、IAEA安全指針では、自然起源の放射性核種のクリアランスに係わる放射能濃度について、人工起源のものとは別に定めていることから、実効線量に対しても十分に留意した。

これまでの安全委員会による評価を踏まえた上、金属の再利用に係わる現状を考慮し検討を行った結果、U234、U235、U238のクリアランスレベルは、1ベクレル/gと評価された。クリアランス導入に際しては今後、規制行政庁での基準類整備が求められるが、クリアランス検認の技術的事項については、原子力学会の標準委員会で計測方法・評価手法等の標準化策定に向けた取組が進められていることから、これら学協会規格の妥当性を十分に精査した上で、必要に応じ規制への導入を図っていくことが望ましいとしている。


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