英政府 ロールスロイス社中心に 機器製造研究センター設置へ

英国の民間企業・規制改革省(BIS)およびエネルギー・気候変動省(DECC)は15日に「英国における低炭素産業戦略」を公表し、低炭素経済に移行するための一方策として「先進的原子力機器製造研究センター(NAMRC)」を設置することを明らかにした。

同戦略は、低炭素経済における電力供給方法について、再生可能エネルギーや二酸化炭素回収・貯留(CCS)機能付き火力発電とともに原子力の民生利用を拡大する必要があると指摘。新規原子炉の発注が途絶えた90年代以降、英国では大型機器の製造能力を含めた技術力や優秀な技術者の供給チェーンが弱体化したことから、NAMRCで製造業者の専門的知見や慣行等を大学の研究開発能力と統合し、英国におけるサプライ・チェーンの再開発・強化を図るとしている。

同戦略はまた、英国の新規原子炉建設計画で海外の原子炉設計企業による第3世代プラスの標準設計が採用される可能性と、それらがその他の世界市場においても共通に展開される可能性についても指摘。英国の供給チェーンが国内で主要な原子炉供給者となることに成功すれば、世界の新規原子炉建設市場でもチャンスの獲得につなげることができると強調している。

NAMRC設置のために英国政府は1500万ポンドを投入する計画。位置づけとしては既設の2つの先進的製造センターおよびセラフィールドにある原子力研究所の機能を補完する役割を担わせる。英国の原子力供給チェーン企業・約30社による連合と大学で構成することとし、原子力機器の製造・組立てのプロセスや人材育成開発プログラム、管理手続きなどを共同で開発することになる。また、同企業連合では、昨年7月に民生用原子力市場への参入計画を発表したロールス・ロイス社が技術力や商慣行、および市場アクセスなどの部分で主導的役割を果たすとしている。

なお、ロールス・ロイス社の発表によると、NAMRCの発足は2011年の予定。先進的な機器製造の研究センターとしてネットワークを拡大するとともに、産学の戦略的パートナーシップを通じて、高付加価値の付いた機器製造プロセスと技術の開発を目指したいとしている。


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