原子力委FNCAパネルで 発電導入経験も紹介 アジアで相互協力強化へ

アジア原子力協力フォーラム(FNCA)の「原子力発電のための基盤整備に向けた取組に関する検討パネル」(原子力委員会主催)が7月30、31日、都内で開催(=写真)され、日本、バングラデシュ、中国、フィリピン、インドネシア、韓国、マレーシア、タイ、ベトナムの政府機関、電気事業者ら参集のもと、原子力発電既導入国からの基盤整備の経験などを踏まえ、今後の国際協力のあり方について議論した。

同パネルは、04年の立ち上げから、第1、第2フェーズでの計5年間の検討を踏まえ、原子力発電に関する基盤の効果的・効率的な整備について検討する第3フェーズのキックオフとして、この初会合を開いた。

冒頭、基調講演を行った町末男・FNCAコーディネーターは、原子力発電新規導入までの活動を、調査・サイト選定、設計・建設、運転開始以降の3段階に分け、これに添った形で、検討パネルでの向こう3年間の議論に道筋を示した。

続いて、日本の原子力発電導入基盤整備の経験として、鈴木英昭・日本原子力発電副社長、松浦祥次郎・原子力安全研究協会理事長、魚住弘人・日立GEニュークリアエナジー副社長が発表した。鈴木氏は、原電の設立から、日本の原子力商用炉のパイオニアとして、東海、敦賀発電所の開発を進め、原子力発電開発の基盤を固めた経緯を述べた。松浦氏は、国内の発電実証炉となった原子力研究所「JPDR」に携わった経験を振り返り、人材養成、軽水炉開発、安全知見の蓄積、廃炉技術、プロジェクト管理などの重要性を指摘する一方、その時々の科学技術水準、社会情勢、産業構造といった周辺環境にも配慮する必要を強調した。また、魚住氏は、中国電力島根3号機の建設工事の現況を紹介し、大型クレーンによるモジュール型工法や現場での作業安全意識を高揚させる「KY(危険予知)活動」などにも触れた。

さらに、原子力発電既導入国として、中国、韓国からも基盤整備の経験が紹介されたのに続き、新興国側からは原子力導入に向けたロードマップ、課題が報告、これらを踏まえ、全体で討議を行い、人材育成、安全規制、資金調達などについて、各国から意見が交わされた。


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