MAPLE炉 カナダ原子力公社表明 復活は困難との見解

カナダ原子力公社(AECL)は7月30日に声明を発表し、昨年5月に開発計画を中止したMAPLE炉について、「技術的および規制上重大な問題があり、即座に修理して医療用アイソトープ(RI)の生産不足に対応することは難しい」との見解を表明した。

これは、7月8日にRI販売業者のMDSノルディオン社が、「故障したNRU炉の復帰が遅れるのであればMAPLE炉を完成させて対応すべきだ」と意見表明したのに対する措置。AECLは、NRU炉を代替するRI生産専用炉として開発が始まったMAPLE炉計画を中止した理由として反応度出力係数(PCR)の問題を挙げている。

カナダ原子力安全委員会は同機が負のPCR値で稼働するよう、すなわち出力の上昇に伴い炉心反応度が減少するという設計に認可を与えたが、03年6月に同機起動を試みた際、試験データの分析はわずかに正のPCR値を示したという。

その後、昨年5月までの間に韓国や米国など複数の専門研究所を交えて広範囲な化学分析と試験を実施したにも拘らず、この問題は解決できず、同機が正のPCR値を示す原因についても特定できなかったとAECLは説明。技術的なリスクのほかにも付属の処理施設を稼働させる必要性や規制当局による承認の問題などがあり、MAPLE炉計画の復活には少なくとも5〜6年、徹底的な研究分析が必要との判断を示している。


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